2014年07月09日

6月マネー統計~リスク性資産の伸びが反転

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

文字サイズ

■見出し

・貸出動向: 2ヵ月連続で伸び率拡大
・マネタリーベース: 順調に拡大
・マネーストック: リスク性資産の伸び率が反転

■要旨

6月の銀行貸出(平残)の伸び率は前年比2.5%となった。伸び率の拡大は2ヵ月連続となる。引き続き、M&Aや不動産向け等が牽引した模様。今年3月から5月までの貸出先別貸出金を見ると、中小企業向けがじわりと伸びを高めているのが注目される。貸出の裾野は引き続き広がりを見せている。一方、これとは逆の動きを示しているのが個人向けだ。消費増税に伴う住宅販売の落ち込みが住宅ローンの減速として現れている可能性がある。そして、今後は拡充された貸出増加支援資金供給の影響が注目される。
6月のマネタリーベース平残は233.2兆円と16ヵ月連続で過去最高を更新。前年比伸び率は42.6%とやや縮小。日銀当座預金の伸びが縮小しているのが主因だが、異次元緩和開始から一年が経ち、伸び率の分母である前年残高が急ピッチで膨張していることによる。季節調整済みのマネタリーベース(平残)の増加幅は、今年に入ってからの6ヵ月平均で5.8兆円と、日銀の掲げる年末見通しに向けて、順調なペースで進捗していると判断される。

マネーストック統計によると、市中通貨量を示す6月のM2、M3、広義流動性はそれぞれ縮小。縮小はM2、M3で5ヵ月連続、広義流動性では7ヵ月連続となった。ただし、広義流動性の伸び率縮小はM3の鈍化が効いたためであり、金銭の信託や投資信託、外債といったリスク性資産の伸びが拡大に転じたため、M2やM3に比べて6月の伸び率縮小は小幅に留まっている。

Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【6月マネー統計~リスク性資産の伸びが反転】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

6月マネー統計~リスク性資産の伸びが反転のレポート Topへ