2014年07月01日

【アジア新興経済レビュー】再びルピア安が進行

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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  1. (実体経済)
    生産面の動きを見ると、フィリピン・インドが加速し、先行きへの期待が持てる結果となった。一方、タイは軍事クーデターで国内の混乱が最高点に達して14ヵ月連続のマイナス、韓国は輸出の減少や連休の影響で8ヵ月ぶりのマイナスとなった。
  2. (インフレ率)
    5月のインフレ率は、引き続き多くの国・地域で食品価格の上昇を背景に緩やかなインフレ圧力が働いている。従って、インド・インドネシアは政策金利を高めに維持しながらもインフレ率の低下傾向が見られない。また、インドネシアは中東情勢の悪化などを受けて、ルピア安が再び勢いを増しており、輸入インフレが懸念される。
  3. (金融政策)
    6月は、韓国・台湾・タイ・インドネシア・フィリピン・インドで金融政策決定会合が開かれたが、政策金利は6カ国とも据え置きとなった。なお、フィリピン中央銀行については、特別預金口座(SDA)金利を0.25%引き上げて2.25%とした。
  4. (6月の注目ニュース)
    4日、韓国で統一地方選挙が投開票された。広域自治体の首長選の結果は8勝9敗。与党が優勢とみられていたソウル特別州は落としたが、ソウル以外の首都圏(仁川市、京畿道)や基礎自治体の首長選・議会選挙では与党優勢であり、善戦したと言える。インドネシアでは、大統領候補がテレビ公開討論会などで舌戦を繰り広げている。依然としてジョコウィ派の優勢であるが、ネガティブキャンペーンの影響もあってプラボウォ派との支持率の差は1桁台まで接近している。大統領選は7月9日に投開票される。
  5. (7月の主要指標)
    7 月は、韓国(24日)、台湾(31日)でGDPが公表される。1-3月期の実質GDP成長率は、韓国が前年同期比+3.9%、台湾が同+3.1%とそれぞれ加速した。両国では輸出の動向が消費・投資の持続性にも影響するだけに、輸出が欧米向けを牽引役として回復ペースを維持するかどうか注目が集まる。特に韓国は、足元のウォン高による輸出鈍化、4月の旅客船セウォル号の沈没事故後の「自粛ムード」による消費の悪化で、成長率が伸び悩む可能性が高い。
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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