2014年06月25日

【5月米住宅販売】住宅市場にも明るさが

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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【要旨】

結果の概要:前月対比での改善が鮮明に

6月23日に全米不動産協会(NAR)が5月の中古住宅販売件数を、24日には米国商務省と住宅都市開発省(HUD)が共同で5月の新築一戸建て住宅販売件数を公表した。
5月の中古住宅販売件数は季調済の年換算で489万件(前月改定値:同466万件)となり、前月から拡大、市場予想の474万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も上回った。また、5月の新築一戸建て住宅の販売件数は季調済年換算で50.4万件(前月改定値:同42.5万件)となり、こちらも前月や市場予想(43.9万件)を大きく上回る結果となった(詳細はPDFを参照)。
中古住宅、新築住宅ともに金融危機前の水準と比較すれば低迷しているものの、今回公表された販売件数は、前月対比での改善が鮮明に見られる。住宅市場の先行きへの明るさがうかがえ、住宅投資への改善期待も高まる結果だったと言える。改善の背景には、足もとで住宅ローン金利の上昇が一服していることのほか、中古市場では在庫が増えてきたことも要因として指摘できる。
今後の住宅市場については、引き続き人口増や景気回復が市況改善の材料となるだろう。また、6月FOMCの記者会見でイエレンFRB議長がハト派色の強い発言をしており、低金利が持続するとの見方が強まっていることも好材料だろう。年末にかけて量的緩和政策の出口が視野に入るため、今後の金利上昇圧力は避けられないだろうが、当面は実質ゼロ金利政策が維持されると見られることから、上昇余地は限定的になると考えている。
足もとの住宅販売件数の改善は景気の回復に伴ったものと見られ、メインシナリオでは引き続き緩やかな改善傾向が続くだろう。ただし金利の急上昇などで販売件数が鈍るなどのリスクを抱えていることには注意したい。


住宅販売の動向/住宅ローン金利と申請件数の動向

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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