コラム
2014年06月23日

今、圧迫面接は本当に必要か?~少子高齢社会における採用活動を考える~

  山田 善志夫

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今年4月に2015年4月入社者の採用面接が本格的に始まったと思ったら、6月にはもう2016年3月卒業者向けの就職情報サイトが一斉にオープンし、2016年度の就活がスタートした。企業の採用活動は、まさに年中行事となっており、採用担当者は1年を通して気の休まる暇もないことだろう。決して採用担当者のストレスの捌け口になるわけではないが、就活生へのいじめとも取られかねない圧迫面接を行なう企業もあるという。

圧迫面接は、わざと意地悪な質問したり、威圧的な態度や逆に露骨に関心のない態度を取って、それに対する反応や対応を見る面接方式であり、営業職等の、不特定多数の顧客や取引先に対応する必要がある職種において、クレームや要望にきちんと対処できるかどうかを見極めるために行なわれることが多い。

近年の就活生は、様々なメディアから面接に関する情報を収集し、周到な事前準備を行なうことによって、面接対応力が格段に上がっており、従来の面接方式では容易に適性を判断することが難しくなっているという事情はあるだろう。だからといって、安易に圧迫面接を行なっていいものだろうか。また、圧迫面接の背景には、企業と就活生の力関係は採用する企業が上という考え方があると思われるが、本来、採用活動において、企業と就活生は対等でなければならないのではないだろうか。

営業管理職を務めていた時に、先輩から「採用に至らなかった人は、その時点から即お客様になる」と教えられたことがある。採用面接の際に不快な思いを抱かせてしまうと、結果として、その後の大切な顧客を失ってしまうというのである。確かに、圧迫面接は、営業職等の業務適性や業務における耐性を判断するには、効率的な面接方式かも知れない。しかし、就活の際の企業に対する印象や評価が、瞬く間にネット上を駆け巡る時代となった現在、ひとりの顧客を失うだけでなく、企業自体の信用を損なうといった非常に大きな経営リスクも孕んでいるのである。

企業側の論理のみで圧迫面接を続けた場合、若者の就業意欲を低下させ、非正規雇用や定職を持たない若者の更なる増加に繋がる可能性も考えられる。今日本が直面している少子高齢社会における労働力の確保や非正規雇用の増加といった社会的課題を踏まえた上で、大切な顧客を守り、会社の評価をさらに向上させ、将来の日本を支える勤労者を育てていくためには、企業は、就活生と対等の立場に立って、誠意と敬意を基本とする採用活動を行なっていくべきではないだろうか。

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