2014年06月18日

円安シナリオは崩れず~マーケット・カルテ7月号

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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6月のドル円相場も膠着を続けている。5月雇用統計でも確認されたように米景気は悪くないのだが、米長期金利の反応が鈍く、ドル高に勢いが付かない。また、直近のイラク情勢緊迫化がリスク回避通貨である円の魅力を高めている。国内では新成長戦略の概要が示されたが、為替市場では現状明確な反応が見られない。失望によるリスクオフの円買いを防いだとも言えるが、概ね予想の範囲内であったようだ。

しかし、今後3ヵ月という時間軸では、やや円安ドル高が進むと見ている。地政学リスクや中国経済の動向は警戒を要するが、肝心の米景気回復が続くことで現状の米低金利が正当化できなくなるためだ。日米金利差が緩やかに拡大し、ドル高圧力が強まるはず。また、国内では早ければ9月にもGPIFの運用配分見直し(内外株式比率引き上げ)が決まる可能性がある。多少遅れたとしても市場ではかなり意識されるだろう。このこともリスクオンの円売り要因としてカウントできる。

ユーロ円相場はECBの追加緩和により、ややユーロ安に振れている。現時点で出来ることをまとめて出してきた感があり、しばらくはユーロ安材料として意識されそうだ。ただし、もともと日銀の緩和姿勢は強いうえ、ユーロ高要因であるユーロ圏の貿易黒字は高止まりしていることから、3ヵ月後のユーロ円は横ばい程度と予想する。

長期金利は相変わらず0.6%付近で動意なし。日銀の国債買入れで変動が大きく抑制されるため、3ヵ月後も横ばいの域を出そうに無い。

(執筆時点:2014/6/18)

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上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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