2014年06月13日

若者たちの悲鳴―韓国における教育事情と若者雇用を取り巻く現状と対策―

生活研究部 准主任研究員   金 明中

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■要旨

  • 韓国における公教育費の対GDP比は、7.6%で、OECD平均6.3%より高い(日本は5.1%)。さらに、全教育費に占める私的負担の割合は、37.2%でOECD平均14.8を大きく上回っており、韓国より高い国はチリ(39.4%)しかない(日本は29.8%)。
  • 韓国社会に根強く残っている学歴重視は教育費の負担を増加させ、中流層の崩壊やエデュプア(教育貧困層)の増加にも繋がっている。
  • 韓国における大学進学率は、2008年に83.8%で頂点に到達してから低下傾向にあり、2011年には72.5%まで急速に低下した。大学進学率が大きく低下した理由は2010年までに大学合格者を基準にした大学進学率の計算基準が2011年からは実際の入学者に変わったからである。
  • 韓国における4年制大卒者の就職率は55.6%(2013年)で、およそ大卒者2人のうち1人は就職ができないという状況に追い込まれている。大卒者の労働市場は供給過剰状態であり、さらに大卒者が就職を希望する企業や職種、そして地域には偏りがあり、そのため雇用のミスマッチが生じている。
  • 韓国における15~64歳の就業率は2000年の61.5%から2013年には64.4%まで上昇しているが、15~29歳年齢階層の就業率は43.4%から39.7%に低下している。また、同期間の失業率は15歳~64歳が4.3%から2.9%に1.4%ポイント低下していることに比べて、15~29歳年齢階層の失業率は7.6%から8.0%に0.4%ポイント上昇した。
  • 就職を希望する若者は就職がなかなか決まらないと焦ってしまい、希望や専攻とは全く関係がない職に就くあるいは非正規職として労働市場に参加するケースも少なくない。2013年における15~29歳の年齢階層の賃金労働者に占める非正規職割合は32.3%で、調査を始めた2001年の22.8%と比べて、9.5%ポイントも上昇した。
  • 若者のニート化も進んでいる。韓国におけるニートの数は2003年の114.8万人から2010年には134.4万人まで増加している。
  • 韓国の若者の雇用状況がなかなか改善されない理由としては、2008年以降のグローバル景気沈滞の影響による企業の新規採用減少、事業所の海外移転、大卒者の増加による需要と供給のミスマッチ、中高齢就業者の増加等が考えられる。
  • 2000年代に入り、若者の失業が増加し始めたのに対して、韓国政府は若者雇用対策を本格的に実施してきており、その代表的な政策として、青年雇用促進特別法、青年ネイルづくり計画、ヨルリン雇用社会実現計画、4・15青年雇用政策などが挙げられる。
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生活研究部   准主任研究員

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
社会保障論、労働経済学、日・韓社会保障政策比較分析

(2014年06月13日「基礎研レポート」)

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