2014年06月02日

法人企業統計14年1-3月期~設備投資の回復基調が明確に

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・3四半期連続の増収増益
・設備投資の回復基調が明確に
・1-3月期・GDP2次速報は1次速報とほぼ変わらず

■要旨

財務省が6月2日に公表した法人企業統計によると、14年1-3月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比20.2%(13年10-12月期:同26.6%)と9四半期連続の増加となった。経常利益の伸びは前期よりも若干低下したが、利益率の改善が続く中、駆け込み需要の本格化などから売上高が前年比5.6%(10-12月期:同3.8%)と前期から伸びを高め、3四半期連続の増収増益となった。
季節調整済の経常利益は16.3兆円となり、13年10-12月期に続き過去最高水準を更新した。今回の景気回復が個人消費を中心とした国内需要が牽引役となっていることを反映し、非製造業(10.9兆円)は13年4-6月期にリーマン・ショック前のピークを上回った後、4四半期続けて過去最高を更新している。一方、製造業(5.4兆円)は輸出の伸び悩みが続く中、変動費の増加が収益を圧迫していることからリーマン・ショック前のピーク(07年4-6月期の6.8兆円)を20%程度下回っている。

設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比7.4%となり、10-12月期の同4.0%から伸びを高めた。製造業(10-12月期:前年比0.7%→1-3月期:同6.8%)、非製造業(10-12月期:前年比5.7%→1-3月期:同7.7%)ともに前期から伸びを高めた。設備投資は出遅れが目立っていたが、好調な企業業績を背景にようやく回復基調が明確となってきた。設備投資は個人消費や住宅投資に比べて消費増税による直接的な影響が小さい。14年度に入ると国内需要の減速を背景に一時的に足踏み状態となる可能性はあるものの、回復基調は維持され、景気の下支え役となることが期待される。

本日の法人企業統計の結果等を受けて、6/9公表予定の14年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比1.5%(前期比年率6.0%)になると予測する(1次速報:前期比1.5%、前期比年率5.9%)。設備投資は前期比4.9%から同5.4%へと上方修正されるが、民間在庫が1次速報の前期比・寄与度▲0.2%から同▲0.3%へと若干下方修正されるだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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