2014年05月13日

4月マネー統計~マネーの足踏み感強まる

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 個人向けが鈍化要因になる可能性あり
・主要銀行貸出動向アンケート調査:企業の資金需要は増勢弱まる、個人は過去最高記録
・マネタリーベース: 見通し達成ペースを維持
・マネーストック: 足踏み感強まる

■要旨

4月の銀行貸出(平残)の伸び率は前年比2.2%となった。貸出の増勢自体は続いているが、伸び率は昨年12月の2.6%をピークとして4ヵ月連続で縮小している。伸び率縮小の背景には、大口の一服のほか、「円安一巡に伴う外貨建て融資の円換算伸び率鈍化」がある模様。今後は個人向け貸出の動向に注目。住宅ローンに直結する住宅投資は、今後消費税率引き上げに伴う反動減が予想されるだけに、銀行貸出の鈍化要因になる可能性がある。実際、主要銀行貸出動向アンケート調査でも、銀行側の警戒感が現れている。

4月のマネタリーベース平残は222.1兆円と14ヵ月連続で過去最高を更新した。前年比伸び率は48.5%と前月から下落したが、異次元緩和開始から一年が経過し、比較対象となる前年のマネタリーベースが急増した影響が大きい。季節調整済みのマネタリーベース(平残)の増加幅は、今年に入ってからの4ヵ月平均で見ると月間5.9兆円。日銀の掲げるマネタリーベース年末見通しに向けて、問題ないペースで進捗していると見て良いだろう。

マネーストック統計によると、市中通貨量を示す4月のM2、M3、広義流動性はそれぞれ縮小。縮小は3ヵ月連続となった。季節調整済み前月比で見ても、伸び率の低下が顕著になっており、足踏み感が強まっている。銀行貸出の伸び悩みに加え、リスク性資産への資金流入も加速していないことが、背景にあると考えられる。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

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