2014年05月02日

【1-3月期米GDP】前期比年率+0.1%、予想を大きく下回る鈍化

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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【要旨】

結果の概要:個人消費のみ堅調で、残りは全滅

4月30日、米商務省の経済分析局(BEA)は1-3月期のGDP統計を公表した。1-3月期の実質成長率は、季節調整済の前期比年率で+0.1%となり、前期の同+2.6%から大きく減速、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の同+1.2%も大幅に下回る結果であった。

需要項目別に見ると、個人消費が好調だったものの、それ以外の項目は冴えず、全体の成長率を押し下げていることが分かる。実際、今期の個人消費は前期比年率+3.0%と前期(同+3.3%)の伸び率と同程度、市場予想(同+2.0%)を上回る伸びを記録した。一方、設備投資は同▲2.1%(前期:同+5.7%)とマイナスに転じ、在庫変動も成長率への寄与度で▲0.57%ポイント(前期:同▲0.02%ポイント)と大幅に悪化した。住宅投資は前期比年率▲5.7%(前期:同▲7.9%)、政府支出は同▲0.5%(前期:同▲5.2%)といずれも前期よりもマイナス幅が縮小しているが、2期連続のマイナスであり低迷が続いている。
さらに、今期は輸出の減速が大きく、前期比年率▲7.6%(前期:同9.5%)と2009年1-3月期以来の低迷となった。輸入も同▲1.4%(前期:同+1.5%)と減少したものの、成長率への純輸出の寄与度は▲0.83%ポイント(前期:同+0.99%ポイント)と前期と比べて大幅に悪化している。

今期は個人消費を除いて不調であったが、なかでも在庫と純輸出によるGDPの押し下げ効果は大きかった。そのため、GDPから在庫・純輸出を除いた国内最終需要で見ると前期比年率+1.5%となり、前期(同+1.6%)とほぼ同水準の伸びを達成できている。この意味では、米国内の需要には一定の強さが見られると言える。また、住宅投資や輸出については、寒波というショックの悪影響が色濃く生じていると見られ、今後は反動増にも期待できる。したがって、GDPの数値は大幅に減速したが、先行きについては、それほど悲観的になる必要も無いと言えるだろう。


米国の実質GDP成長率(寄与度)/米国の実質GDP(項目別)



 
 本稿では、特に断りの無い限り、季節調整済の実質値を指すこととする。
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高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

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