2014年03月28日

消費者物価(全国14年2月)~不確実性が高い4月の物価上昇率、消費増税の影響除きで2%に急接近も

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・コアCPIは4ヵ月連続で1%台の伸び
・物価上昇品目数の増加が続く
・東京都区部のコアCPIも1%に到達
・4月のコアCPIは消費増税の影響除きで2%に急接近も


■要旨

総務省が3月28日に公表した消費者物価指数によると、14年2月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.3%と9ヵ月連続のプラスとなった。上昇率は前月と変わらず、4ヵ月連続で1%台前半の伸びとなった。エネルギー価格の上昇率は前月から縮小したが、上昇ペースの加速が続く家庭用耐久財、教養娯楽用耐久財がともに伸びをさらに高めた。

消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、1月の上昇品目数は290品目(1月は279品目)、下落品目数は172品目(1月は184品目)となり、上昇品目数が10ヵ月連続で増加した。上昇品目数の割合は55.3%(1月は53.2%)、下落品目数の割合は32.8%(1月は35.1%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は22.5%(1月は18.1%)であった。

14年3月の東京都区部のコアCPIは前年比1.0%となり、上昇率は前月から0.1ポイント拡大した。東京都区部のコアCPI上昇率が1%台となったのは08年11月(前年比1.1%)以来、5年4ヵ月ぶりのこととなる。

消費税率は4/1に5%から8%へと引き上げられる。日本銀行は消費税率引き上げの直接的な影響によりコアCPIは2.0%ポイント程度(ただし、4月は電気代、ガス代など一部の品目で旧税率が適用されるため1.7%ポイント程度)押し上げられると試算しているが、これは税率引き上げ分が課税品目(全体の7割程度)すべてにフル転嫁されることを仮定している。
前回の消費税率引き上げ時における品目別の価格転嫁の状況を振り返ってみると、一律にフル転嫁されたわけではなく品目によってかなりばらつきがあった。今回の税率引き上げに際しても企業の対応はまちまちで、品目によって価格転嫁にばらつきが出る可能性が高いが、前回と大きく異なるのは増税時の価格転嫁に対する政府の姿勢である。前回は増税に伴う便乗値上げを防止することに重点が置かれていたのに対し、今回は円滑な価格転嫁を促進することに軸足が置かれている。安倍政権発足以来、デフレ脱却が経済の最優先課題とされていることもあり、前回よりも企業が値上げに踏み切りやすい環境にあるとも考えられる。4月のコアCPI上昇率は相当の幅をみておく必要があり、機械的な試算による消費税率引き上げの影響を除くベースで2%に急接近する可能性も否定できない。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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