コラム
2014年03月14日

長寿時代のライフデザイン研修~中高齢者が求める理想の研修とは?

生活研究部 主任研究員   前田 展弘

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人生90年、100年にも及ぶ長寿時代を生きる我々にとって、“とりわけ長い後半の人生をどのように生きていくか”、これは国民の誰もが有する今日的に大きな課題(可能性)である。特に50歳あるいは60歳を過ぎた以降の、“セカンドステージを自分でどう構築していくか”は、本人ならびに社会にとっても重要なテーマとなっている。このテーマの解決に向けては、様々なアプローチが考えられるが、中でもセカンドライフの動機付け及び情報提供を行う研修等の機会は、より重要になってきた。しかし、多くの退職者や中高年の方々の声を聞くと、「企業で行われた研修(リタイアメント研修等)は、年金や社会保険の話が中心で、実際のセカンドライフづくりには参考にならなかった」、「自分のため、また高齢者の生活支援のために養成される各種の講座も学ぶ機会としては有意義だが、学んだ後の活躍場面が見つからず物足りない」といった課題指摘がある。


後半人生のライフデザイン研修等に関する現状イメージ


では、どのような研修や講座が望ましいのか。筆者が代表を務める「東京大学ジェロントロジー・ネットワーク/高齢者のライフデザイン・生活ニーズ研究会(WG8)※1」における議論からは、次の3つの機能の開発・強化の必要性が浮かび上がってきている。

(1)カスタマイズ&カウンセリング機能
   まずは、どこまでその人の状況に応じてOne to Oneで対応できるか、カスタマイズとカウンセリング機能の付与・開発である。既存の研修や講座は、どうしても一方通行の情報提供に止まってしまう。その場の話は参考にはなっても、自分が抱える生活課題の解決や生き方のニーズを満たすには足りないことが多い。セカンドライフにおける課題やニーズは、人それぞれ千差万別であって、「自分の場合はどうか」「自分にふさわしいことは何か」、そうした個々の課題やニーズに対応したきめ細かな情報提供ならびに相談対応が望まれる。

(2)総合的サポート&ワンストップ機能
   次は、総合的かつ一元的な対応の強化である。セカンドライフにおける課題やニーズは、生活全般に関わることは言うまでもない。健康、介護、お金、住まい、就労・社会参加、学び・交流・遊びと極めて多岐の領域にわたる。抱える課題を解決しながら自分が望むセカンドライフを実現するには、こうした生活要素全般について、一元的に対応可能であることが望まれる。

(3)コーディネート&ナビゲート機能
   最後は、生活実現を具体化させるコーディネートとナビゲートの機能強化である。セカンドライフの研修や講座に対して、受講者が最終的に求めることは、希望するセカンドライフの実現まで具体的にナビゲートしてもらえることである。例えば、「その人が住む地域の中でその人が希望する活躍場所を具体的に案内し結びつけてあげる」、あるいは、「介護やお金の相談について解決してくれる事業者等を実際に結びつけてあげる」ことなどである。こうした具体的かつ実際の支援までナビゲートしていくことが、まさに理想のセカンドライフの実現に貢献することである。

以上、やや手厚いサービス(機能)とも言えるが、個々の生活者視点に立てば、このような機能が付与された研修が一つの理想と考えられる。前述の研究会においては、この理想の研修プログラム(事業)の開発と実装化に向けて、引き続き取り組んでいくところである。



 
※1:東京大学産学連携組織「ジェロントロジー・ネットワーク」(のべ90社参加)におけるワーキンググループ(WG)の1つ。現在、ワーキンググループは5つあり、高齢社会の課題解決をはかる事業創造(シルバー・イノベーション)に向けた活動を展開している。なお、WG8には、団塊世代のライフデザイン、女性のライフデザイン、高齢者の生活ニーズ、高齢者の就労関連ビジネスをテーマとしたサブ・ワーキンググループを内包しながら活動している。
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生活研究部   主任研究員

前田 展弘 (まえだ のぶひろ)

研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)、超高齢社会・市場、QOL(Quality of Life)、ライフデザイン

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