コラム
2014年03月10日

メニュー・料理等の食品表示について~景品表示法で「食の安全」は担保できるか~

  山田 善志夫

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食材の虚偽表示問題を受け、消費者庁は昨年12月に、メニューや料理等の食品表示にかかわる景品表示法上の考え方を整理したガイドライン案*1を公表した。このガイドライン案を読んで、新聞等で大きく報道されている「サーモントラウト」を使った「サケ弁当」という表示等の是非のほかに、メニューや料理等の食品表示について、「食の安全」に関わる大きな課題があると感じた。

通常、外食のメニュー表示に適用される法律は景品表示法であり*2、ガイドライン案は景品表示法の「優良誤認」の概念に基づいて策定されている。したがって、牛の成形肉を焼いた料理を「ビーフステーキ」や「ステーキ」と表示する場合、食材が「一枚の牛肉の切り身」と誤認されないように、食材が成形肉であることを明記する必要があるとしている。しかし、食品衛生法で義務付けられている、成形された生肉は全体について十分な加熱を要する旨などの表示は、必要とまではされていない。

また、アレルギーを引き起こす可能性がある牛の成形肉を焼いた料理を、アレルギーに関する表示をせずに「安心・安全」、「徹底した品質管理」などと表示をした場合には景品表示法上問題となるとしている。その上で、成形肉等について食品衛生法で義務付けられている特定のアレルゲンについての表示は、飲食店等のメニュー表示には直接適用されるものではないものの、景品表示法上問題となるかどうかにかかわらず、積極的なアレルギー表示や料理の注文を受ける際のアレルギーの有無の確認など、食物アレルギー疾患を有する消費者に対する情報提供を充実することを求めている。

しかし、「成形肉」という表示だけで「レア」や「ミディアム」では食せないということを即座に理解できる消費者や、「成形肉」という表示を見ただけで自らアレルギー疾患を申告する消費者がどのくらいいるだろうか。

食品表示については、昨年の6月、食品の原材料や添加物、栄養成分などの表示方法を統一する食品表示法が成立し、2年以内に施行されることとなった。今後、内閣府令で食品表示基準が策定されるが、中食、外食、インターネット販売の取扱いは、当面、実態調査等を実施することとし、今後の検討課題とされている。言うまでもなく、一般消費者にとって「食の安全」は極めて重要な課題であり、景品表示法の「優良誤認」の概念に基づく食品表示では「食の安全」を完全に担保することができないことは明らかである。景品表示法に基づくガイドラインの検討状況だけでなく、食品表示法に関する今後の動向についても、私たち自身がしっかりと注視していかなければならない。




 
*1  「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について(案)」
*2  偽装表示の程度が悪質であれば、「不正競争防止法」が適用される。

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