2014年03月07日

金融市場の動き(3月号)~通貨のパワーバランスを再考

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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  1. (為替・株) ドル円は足元103円付近まで回復してきているが、年初の105円台には距離があり、上値の重さは否めない。この原因は、主にドルの反発力が見られないためだが、米長期金利の上昇が限定的であることが影響している。直近のウクライナ情勢を別にすると、米金利低迷の最大の要因は米経済の弱含みと考えられる。さらに、テーパリングが米住宅投資減速や新興国不安を通じて金利抑制に働いた面もある。今後、ドルが上昇していく条件は、まず寒波の影響が無くなった時に米景気が回復軌道に乗っていることが確認されることだ。さらにその結果として米金利が上昇しても米景気の回復基調が崩れないこと、テーパリングの負の影響を新興国経済が吸収することだ。筆者は一本調子には行かないものの、米経済の足腰はそれなりに強いと見ており、中期的にドル高シナリオが実現される可能性は高いと考えている。しかし、ドルが上昇しても、同時に円が上昇する間は円安ドル高が進まない。そして目先には消費増税という円上昇リスクが控えていることには注意が必要だ。安定した円安ドル高基調が出るにはいくつかのハードルを越える必要があり、まだ時間を要しそうだ。
  2. (日米欧金融政策) 2月は日米欧ともに金融政策変更は行われなかったが、日銀が貸出支援制度の大幅拡充を決定した。3月米FOMCはイエレン新議長のデビュー戦にあたり、発言内容も含めて注目度が極めて高い。
  3. (金融市場の動き) 2月は米指標の弱含みやウクライナ情勢緊迫化などから円高ドル安、金利もやや低下したが、ユーロドルは上昇した。目先の最大のカギは米経済だが、いずれにせよ新興国不安やウクライナへの警戒感が残り、さらに消費増税への警戒感も追加で台頭してくる可能性があるため、ドル円と長期金利の上昇余地は限定的と見ている。


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経済研究部   シニアエコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

(2014年03月07日「Weekly エコノミスト・レター」)

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