2014年02月28日

消費者物価(全国14年1月)~コアCPIは1%台前半の伸びが続く

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・コアCPIは3ヵ月連続で1%台の伸び
・物価上昇の裾野がさらに広がる
・消費税率引き上げ後のコアCPI上昇率は3%台前半へ


■要旨

総務省が2月28日に公表した消費者物価指数によると、14年1月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.3%(12月:同1.3%)と8ヵ月連続のプラスとなった。上昇率は前月と変わらず、3ヵ月連続で1%台前半の伸びとなった。
エネルギー価格の上昇率は前年比6.9%となり、12月の同6.8%とほぼ変わらなかったが、ここにきて価格上昇が目立つ電気洗濯機、冷暖房用器具、一般家具などの家庭用耐久財(12月:前年比0.7%→1月:同6.4%)、テレビ、パソコンなどの教養娯楽用耐久財(12月:前年比2.6%→1月:同4.7%)はともに伸びをさらに高めた。また、原材料価格の上昇を価格転嫁する動きが進んだことにより、食料(生鮮食品を除く)は12月の前年比0.8%から同1.0%へと上昇率が高まった。

消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、1月の上昇品目数は279品目(12月は267品目)、下落品目数は184品目(12月は188品目)となり、上昇品目数が9ヵ月連続で増加した。上昇品目数の割合は53.2%(12月は51.0%)、下落品目数の割合は35.1%(12月は35.9%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は18.1%(12月は15.1%)であった。
原材料価格上昇の直接的な影響を受けやすいエネルギー、食料品などに加えて、耐久財やサービスなどでも上昇品目が目立つようになっており、物価上昇の裾野の広がりはより鮮明となっている。

これまで物価上昇の主因となっていたエネルギー価格の上昇率は頭打ちとなっているが、幅広い品目で円安による原材料価格の上昇を価格転嫁する動きが続いており、13年度末までは消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあり需給バランスのさらなる改善が見込まれる。コアCPIは13年度末まで1%台前半の伸びを続けた後、14年度入り後には消費税率引き上げの影響が加わることにより、3%台前半の伸びとなるだろう。ただし、14 年度に入ると景気減速に伴い需給バランスが悪化することや円安効果の一巡から輸入物価の伸びが低下することから、伸び率は徐々に鈍化する可能性が高い。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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