2014年01月31日

中国経済は良いのか悪いのか?

三尾 幸吉郎

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  1. 中国では、経済成長率の鈍化や金融市場の混乱で株価が低迷しているにもかかわらず、国際資金は中国へ流入して人民元は最高値圏にあり、中国経済は良いのか悪いのか判断が難しいところにある。
  2. 国際的に見ると、中国の経済規模は世界第2位で日本の1.8倍に達しており、一人あたりGDPではロシアやアルゼンチンの半分前後である。経済発展度を表す一人あたりGDPや都市化率がまだ低いことなどを勘案すると、現在の潜在成長率は7-8%程度と思われる。
  3. 2013年の経済成長率は実質で前年比7.7%増と2年連続の8%割れとなった。過去10年平均の約10%を大きく下回っているものの、中国政府はリーマンショック後のような大型景気対策を打ち出すことはせず、経済成長率の鈍化を許容しているようだ。但し、国際的に見るとG20諸国の中で最も高く、人民元高の背景ともなっている。
  4. また、経済成長の持続性はむしろ高まっている。経済成長率は高いほど良いと思われがちだが、雇用不安もインフレ懸念も小さい潜在成長率並みの方が長続きする。株式市場を見ても、深?創業板(ChiNext)が最高値圏にあるなど、新興企業への成長期待は高い。
  5. 現在のところ中国経済は雇用不安もインフレ懸念も小さい良好な状態にあると評価できる。但し、昨年は経済のディレバレッジが十分に進まず今年はディレバレッジが正念場を迎えることから、成長率が潜在成長率を下回って雇用不安に陥るリスクは残っており、ディレバレッジにメドがつくまでは景気失速懸念が燻り続けることになると見ている。



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(2014年01月31日「Weekly エコノミスト・レター」)

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