2014年01月31日

鉱工業生産13年12月~駆け込み需要が生産活動を後押し

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・4四半期連続の増産
・年度末にかけて増産ペースは加速する公算

■要旨

経済産業省が1月31日に公表した鉱工業指数によると、13年12月の鉱工業生産指数は前月比1.1%と2ヵ月ぶりの上昇となり、ほぼ事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.3%、当社予想も同1.3%)通りの結果となった。
13年10-12月期の生産は前期比1.9%と4四半期連続の上昇となり、7-9月期の同1.7%から伸びを若干高めた。業種別には国内販売、輸出ともに堅調に推移している輸送機械が7-9月期の前期比▲1.2%から同3.0%へと増加に転じたほか、設備投資の持ち直しを受けてはん用・生産用・業務用機械が前期比3.3%(7-9月期:同3.7%)と堅調を維持した。一方、電子部品・デバイスはスマートフォン向け需要の一服などから前期比▲4.5%(7-9月期:同4.0%)と3四半期ぶりに減少した。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は13年7-9月期の前期比0.4%の後、10-12月期は同5.6%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷は13年7-9月期の前期比1.1%の後、10-12月期は同1.5%となった。7-9月期のGDP統計の設備投資は前期比0.0%の横ばいにとどまったが、10-12月期の設備投資は前期から伸びを大きく高める可能性が高いだろう。
消費財出荷指数は13年7-9月期の前期比▲0.1%の後、10-12月期は同4.8%となった。特に、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が顕在化している耐久消費財が前期比8.5%と非常に高い伸びとなっている(非耐久消費財は前期比0.7%)。13年7-9月期のGDP統計の個人消費は前期比0.2%の低い伸びにとどまったが、駆け込み需要の本格化を主因として10-12月期、14年1-3月期と伸びを大きく高めていく可能性が高い。
製造工業生産予測指数は、14年1月が前月比6.1%、2月が同0.3%となった。13年12月の生産指数を14年1月、2月の予測指数で先延ばし(3月は横ばいと仮定)すると、14年1-3月期は前期比7.1%の高い伸びとなる。生産計画が下方修正される傾向が続いていることを考慮する必要はあるが、10-12月期の前期比1.9%から伸びが高まることは確実だろう。13年度末にかけて鉱工業生産の増産ペースは加速することが予想される。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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