2013年12月19日

資金循環統計(13年7-9月期)~個人金融資産は前年比90兆円増の1598兆円

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・個人金融資産(13年9月末): 前期比では7兆円増
・資金流出入の詳細:“貯蓄から投資へ”の流れはまだ
・部門別資金過不足等:国債と企業の現預金残高が過去最高を更新

■introduction

2013年9月末の個人金融資産残高は、前年比90兆円(5.9%)増の1598兆円となった。当残高は過去最高であった07年6月末に次ぐ高水準となる。四半期ベースでは、前期(13年4-6月)末比で7兆円の増加となった。例年7-9月期は一般的な賞与支給月を含まないことからフローで流出超過となる傾向があり、今回も2兆円の流出超過となった。一方、株高の進行等により、時価が全体で8兆円増加したことが金融資産の増加に繋がった。

7-9月期の家計の資金フローでは、投資信託など一部リスク性資産を積み増す動きが顕著であったが、同じくリスク性資産である株式からは資金流出が進むなど、家計のリスク性資産への投資スタンスはまちまちの結果となった。積みあがってきた現預金の取り崩しも限定的であることから、全体として「貯蓄から投資へ」という流れが出ているわけではない。相場回復を受けた含み損解消や利益確定に伴う売りがリスク性資産の積み増しを抑制したほか、根強い安全志向も影響している可能性がある。

国債の9月末残高は980兆円と6月末から11兆円増加し、過去最高を更新した。保有者を見ると、異次元緩和により中央銀行(すなわち日銀)の保有高が20.4兆円もの急増を見せている。結果、全体に占める中央銀行のシェアも17.4%に上昇した。また、民間非金融法人の現預金残高も224兆円と、2四半期ぶりに過去最高を更新している。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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