コラム
2013年12月09日

長寿時代のライフマネジメント-定年後の「幸せのレシピ」

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

文字サイズ

高齢化が進んでいる。高齢化とは長寿化である。平成24年の日本人の平均寿命は、男性79.94年、女性86.41年と、人生80~90年時代を迎えているのだ。これだけ寿命が長くなると、退職後に過ごす高齢期を単なる「余生」などとは言っていられない。われわれが長寿時代に幸せな人生を送るためには、定年後に手にする10万時間を超える暮らしをどのように生きるのかが極めて重要になっているのだ。長寿時代を迎え、定年後の「幸せのレシピ」のためのライフマネジメントについて考えてみよう。

人生が長くなったことにより、これまであまり想定していなかった高齢期のリスクが発生している。そのひとつは介護や要介護のリスクだ。長男長女時代には4人の老親がいて、その介護負担は大きい。一方、自分自身や配偶者が最期まで健康であるとは限らず、健康寿命と平均寿命の差が要介護期間となる可能性もあるだろう。現在では少子化で子どものいない人も多く、親や配偶者に対する「介護力」の備えと、自らの要介護状態に十分準備することが必要になっているのである。

次に、長寿を全うするためには、それに見合う経済基盤が必要だ。終身にわたり受給できる年金に加え、その不足分を最期までどのように補うかが大きな課題である。資産の取り崩しで補うためには、長生きすればするほど資産不足のリスクが高まるからだ。また、子どもの晩婚化や非婚化、非正規雇用の増加などにより子どもの世帯分離が遅れ、扶養期間が長期化している。その結果、長い高齢期を生き抜くための資金は想定以上に膨らんでいる。今後は、リバースモーゲージのような不動産の流動化など、現役時代に蓄えた資産を有効に活かせる「経済力」が重要になってくる。

健康面や経済面で恵まれていても、社会から孤立して生きることは不幸だ。社会的に孤立しないためには、地域や家庭での居場所をつくり、趣味や地域活動を通じた仕事以外の人間関係を築くための「コミュニケーション力」が求められる。また、長寿になると死別や離別を経験する高齢者も増える。生涯独身で過ごす人の割合、生涯未婚率も男性は既に2割を超えている。現在、最も多い世帯類型が単身世帯となり、おひとりさま社会を長く生きなければならないのである。そこでは料理をはじめとする一人でも暮らせる「生活力」を身につけておくことが不可欠だ。

長寿がもたらす長い高齢期は人生の収穫期でもある。われわれがようやく手に入れた長寿を幸せに全うするには、定年後の「幸せのレシピ」として、「介護力」「経済力」「コミュニケーション力」「生活力」などを身につけるためのライフマネジメントが重要になっているのではないだろうか。




 
60_ext_01_0.jpg

社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2013年12月09日「研究員の眼」)

レポート

アクセスランキング

【長寿時代のライフマネジメント-定年後の「幸せのレシピ」】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

長寿時代のライフマネジメント-定年後の「幸せのレシピ」のレポート Topへ