2013年12月02日

【アジア新興経済レビュー】タイで大規模デモ、フィリピンで台風被害という課題に直面

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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  1. (実体経済)
    11月はASEANとインドで7-9月期のGDPが公表された。このなかでは、タイの成長低迷が目立った。また、10月の生産指数ではタイを除き、弱いながらも回復の兆しが見られる。ただし、いずれの国・地域でも輸出や自動車販売など弱含みが見られる指標があるため、回復基調が定着したと判断することは早計だろう。
  2. (インフレ率)
    インフレ率はインドネシアとインドで高い状態が続いている。インドネシアでは4カ月連続での8%超、インドは上昇傾向が続き7%まで達している。
  3. (金融政策)
    インドネシアでは高インフレ、経常赤字、ルピア安を受けて、10月にはサプライズとなる利上げ(0.25%)を実施した。一方、成長低迷が深刻化し、デモなど政治リスクが高まるタイではサプライズ利下げ(0.25%)を実施した。その他の国・地域では政策金利の変更はされていない。
  4. (11月の注目ニュース)
    11月のニュースではタイで発生した大規模な反政府デモとフィリピンで深刻化した台風被害が目立った。
    タイのデモは1カ月以上続いており、11月下旬からはデモ隊が官公庁を占拠し、一部の行政機関が閉鎖に追い込まれる事態にまで発展している。国会の政治的対立も激化しており、政策実行力の低下による経済へのさらなる悪影響が懸念される。
    フィリピンの台風については、被害に遭った地域のGDPシェアが比較的高くないことから、成長率への影響は限定的と見られる。ただし、復興までには時間がかると見られ、今後の復興計画や政府への自然災害リスクへの対策にも注目が集まるだろう。
  5. (12月の注目点)
    12月は高インフレが続くインドネシアとインドで金融政策決定会合が開催されるため、追加利上げが実施されるか注目される。また、米国でもFOMCが開催される。FOMCで量的緩和策の縮小開始が決定される、あるいは早期の縮小が濃厚になれば、新興国・地域からの資金流出と株安・通貨安が再び発生する可能性があるため、こちらも注目と言える。
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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

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