2013年12月02日

法人企業統計13年7-9月期~企業収益は堅調、設備投資は伸び悩み

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・6四半期ぶりの増収増益
・設備投資の回復遅れる
・7-9月期・GDP2次速報は下方修正を予想

■要旨

財務省が12月2日に公表した法人企業統計によると、13年7-9月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比24.1%(4-6月期:同24.0%)と7四半期連続の増加となった。減少が続いていた売上高が前年比0.8%(4-6月期:同▲0.5%)と小幅ながら増加に転じたため、12年1-3月期以来6四半期ぶりの増収増益となった。
経常利益は、製造業(4-6月期:前年比51.5%→7-9月期:同46.9%)、非製造業(4-6月期:前年比11.3%→7-9月期:同14.5%)ともに2四半期続けて前年比で二桁の高い伸びとなった。
設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比1.5%となり、4-6月期の同+0.0%から伸びを高めた。製造業(4-6月期:前年比▲9.1%→7-9月期:同▲6.7%)の減少幅が縮小し、4-6月期に3四半期ぶりの増加となった非製造業(4-6月期:前年比5.6%→7-9月期:同6.6%)は前期から伸びを高めた。季節調整済の設備投資(ソフトウェアを除く)は前期比▲0.5%と4四半期ぶりの減少となった。製造業(前期比▲0.7%)、非製造業(前期比▲0.4%)ともに小幅ながら減少した。特に、製造業は12年4-6月期から6四半期連続で減少しており、企業収益の堅調にもかかわらず設備投資は回復の遅れが顕著となっている。
足もとの設備投資の水準はキャッシュフローを大きく下回り、減価償却費並みとなっており、企業の設備投資意欲の弱さを示している。設備投資の先行指標である機械受注統計の動きなどから考えれば、10-12月期以降は製造業を中心に設備投資の回復ペースが高まることが予想されるが、企業の中長期的な成長期待が高まることによって設備投資の回復が本格化するまでには時間を要するだろう。
本日の法人企業統計の結果等を受けて、12/9公表予定の13年7-9月期GDP2次速報では、設備投資(前期比0.2%→同0.0%)、民間在庫(前期比・寄与度0.4%→同0.2%)の下方修正などから、実質GDPが前期比0.4%(前期比年率1.4%)となり、1次速報の前期比0.5%(年率1.9%)から下方修正されると予想する。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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