2013年10月25日

中国経済:7-9月期の成長率は加速、その後の注目点は?

三尾 幸吉郎

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  1. 2013年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比7.8%増と3四半期ぶりに前四半期の伸び(同7.5%)を上回った。また、1-9月期では前年同期比7.7%増と昨年の伸びに並び、需要別に見ると最終消費3.5ポイント、総資本形成4.3ポイント、純輸出▲0.1ポイントとなった。
  2. 輸出は、7-9月期に前年同期比3.9%増と4-6月期の同3.8%増を僅かに上回る伸びに留まった。但し、米国・欧州・ASEAN向けが改善し、“輸出水増し”疑惑の香港向けが大きく鈍化したことを勘案すると、7-9月期は統計で示されたよりも高い伸びだった可能性がある。
  3. 内需は、小売売上高が7-9月期に前年同月比13.3%増(当研究所推定)と1-6月期の同12.7%増を上回ったものの、昨年より低い伸びに留まるなど消費は依然冴えない。固定資産投資は7-9月期に前年同期比20.4%増(当研究所推定)と、4-6月期の同19.3%増(当研究所推定)を大きく上回った。特に、製造業や電力・エネルギー供給業が伸びの改善に貢献した。
  4. 消費者物価は、9月に前年同月比3.1%上昇と、今年の抑制目標である3.5%前後は下回ったものの預金基準金利(1年定期)の3%を上回ってきた。また、住宅価格の上昇も続いていることから、利上げの可能性が視野に入ってきた。
  5. 現在、中国は構造改革を推進中で、今年は新たな成長基盤を作る(ビルド)政策と高成長の歪みを正して経済の健全化を進める(スクラップ化)政策が交互に推進されてきた。7-9月期の成長率が高めになったことを受けて、今後は経済の健全化を進める政策に重点が移ると予想している。また、来年(2014年)には成長目標を引き下げる可能性が浮上している。



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(2013年10月25日「Weekly エコノミスト・レター」)

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