2013年10月21日

貿易統計13年9月~7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.3%程度のマイナスに

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・大幅な貿易赤字が続く
・輸出の伸び悩みが続く
・7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.3%程度のマイナスに

■introduction

財務省が10月21日に公表した貿易統計によると、13年9月の貿易収支は▲9,321億円と15ヵ月連続の赤字となり、赤字幅はほぼ事前の市場予想(QUICK集計:▲9,339億円、当社予想は▲9,171億円)通りとなった。輸出入ともに前年比で二桁の伸びとなったが、輸入が前年比16.5%と8月の同16.0%から伸びを若干高める一方、輸出数量が3ヵ月ぶりに前年比でマイナスに転じたことにより、輸出金額の伸びが8月の前年比14.6%から同11.5%へと鈍化したため、前年に比べた貿易収支の悪化幅は前月よりも拡大した。
季節調整済の貿易収支は▲10,913億円と31ヵ月連続の赤字となり、8月の▲8,208億円から赤字幅が拡大した。輸出が前月比▲0.3%(8月:同2.2%)と2ヵ月ぶりの減少となる一方、円安、原油価格の高止まりから輸入が前月比3.8%(8月:同0.2%)の高い伸びとなった。四半期ベースの貿易赤字は13年1-3月期の▲10.7兆円(季節調整済・年率換算値)から4-6月期には▲8.7兆円へと縮小したが、7-9月期は▲11.4兆円と再び拡大した。
7-9月期の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)で見ると、米国向けが前期比▲3.6%(4-6月期:同4.8%)、EU向けが前期比3.5%(4-6月期:同1.2%)、アジア向けが前期比▲4.1%(4-6月期:同1.7%)、全体では前期比▲0.2%(4-6月期:同1.4%)となった。4-6月期の経済成長率が6四半期ぶりのプラスとなり、景気が底入れしつつあるEU向けは持ち直しつつあるものの、米国向け、アジア向けが大きく落ち込んだ。米国向けは4-6月期に高い伸びとなった反動の側面もあるが、アジア向けはASEAN向けを中心に基調として弱い動きが続いていると判断される。
9月までの貿易統計と8月までの国際収支統計の結果を踏まえて、7-9月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲0.5%程度の減少、輸入が前期比2%程度の増加となることが見込まれる。この結果、7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.3%(4-6月期:同0.2%)と3四半期ぶりのマイナスとなることが予想される。当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、10/31のweeklyエコノミストレターで7-9月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、国内需要は住宅投資、公的固定資本形成を中心に堅調を維持しているが、外需が3四半期ぶりに成長率の押し下げ要因となることから、実質GDP成長率は前期比年率2%弱となり、5四半期連続のプラス成長は確保するものの、4-6月期の同3.8%からは大きく減速すると予想している。

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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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