コラム
2013年10月15日

竹馬の友も、地域の友も! -高齢期に向けた、戦略的友人づくりのすすめ-

保険研究部 常務取締役 部長   中村 昭

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現在、当研究所では、高齢期における孤立予防の研究を進めており、豊かな老後生活をおくるための提言発表を目指しております。その研究活動の一環として、「地域のなかで孤立に陥りやすい人々の状況」について、民生委員の方々にヒアリング調査を実施いたしました。

若い頃から人付き合いの少ない人が、老後ますます孤立を深めていくケースが主流であろうと予測しておりましたが、ヒアリングによれば、そうではないケースも多々あるとのことでした。
   例えば、定年退職後も、多くの友人に囲まれて、趣味や旅行にエネルギッシュに活躍していた人たちが、何かの原因で体調を崩し、活動範囲が狭まってしまうと、これまでの交流が途絶えて、孤立に陥ってしまうケース。あるいは、人もうらやむおしどり夫婦であった人たちが、つれあいに先立たれた後に、一気に孤立に陥ってしまうケースなどです。
   これらのケースに共通する状況要因は、「気がつけば、身近な地域に友人がいなかった」ということです。元気でいるうちは、「身近な地域に親しい友人を持つことの大切さ」に、なかなか思いが及ばなかったために、結果として、地域の交友関係の形成を怠ってしまったわけです。

現在健康な方が、老後のご自分の姿を想像されましても、健康なまま年を重ね、現在の友人たちと引き続き交友されている姿が頭に浮かばれることと思います。おそらく、多くの人々にとって、虚弱化して活動範囲の狭まった老後の自分の姿は、想定の範囲外にあるものと思います。
   しかしながら、実際には、PPK(ピンピンコロリ)は幻想に過ぎず、一般に、健康寿命(自立して健康に生活できる年齢)は、男女ともに平均寿命より10~13年も短いのです(表-1)。
   すなわち、多くの人々が、人生の最晩年の10~13年間を、健康ではない状態で暮らしていくことになるのです。ですから、この活動範囲の狭まった10~13年の間でも、孤立に陥らずに豊かに生活していくためには、この状態の到来を視野に入れた、戦略的・自発的な友人づくりが必要となるのです。

話は変わりますが、高齢期ではなくとも、若い頃にも、活動範囲が狭まらざるを得ない時期が訪れます。それは、育児の時期です。そして、この時期にスタートする、新たな地域の交友関係があります。それが、いわゆる『ママ友』です。
   育児中の女性の活動範囲は、子供づれで移動できる範囲まで大きく狭まります。『ママ友』は、この狭くなった活動範囲の中でも交流できる友人を持つために、新しく自発的に形成される交友関係です。そして、これまで交流のなかった、身近な地域の人々との交流のきっかけが、『公園デビュー』なのだと思います。

職場と住居が離れている大都市圏の勤め人の場合、私自身もそうなのですが、ほとんど地域の友人をお持ちでないという方も多いでしょう。
   しかし、いつか必ず訪れる、健康を損ねて活動範囲の狭まった老後生活。この時期の生活を豊かに送るためには、身近な地域の友人の存在が不可欠です。古くからの竹馬の友は、もちろん大切ですが、将来を見据えれば、地域の友も大切なのです。

『ママ友』を見習って、将来に向けて、戦略的に『ジジ友』・『ババ友』づくりに励みましょう。残念ながら、『公園デビュー』に相当するような、普遍化された地域デビューの場のない事が難点なのですが。



平均寿命と健康寿命の推移

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保険研究部   常務取締役 部長

中村 昭 (なかむら あきら)

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