コラム
2013年10月08日

この夏、軽井沢で一番売れたもの -「これまで経験のないような○○」にどう対応するのか?

  川村 雅彦

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ここ数年、毎年夏には軽井沢を訪れている。知人の別荘を借りて、あるNPOの合宿を行うためである。東京から来た者には、涼しい環境の中でじっくり議論ができて、実にありがたい。しかし、長年この地に暮らす知人いわく、「軽井沢も年々暑くなっていて、今年が最も暑かった。」 この夏の暑さで、畑のブルーベリーは実を付けなかったそうだ。その理由は寒冷地向けの品種だったからである。これは“悪い冗談”だが、極めつけは次の話である。この夏、軽井沢の電気店で一番売れたのはクーラーだったという。真偽のほどは定かでないが、妙に納得できる話であった。

それにしても今年の夏は暑かった。8月の平均気温は、ほぼ全国的に平年を2℃以上上回り、過去最高となった。四国の四万十市では国内観測史上最高の41℃を記録した。降水量については、北日本で平年比3割増となる一方、東日本では3割まで減少し、西日本ではわずか5%と最少記録となった。さらにゲリラ豪雨が全国各地を襲い、9月には東海地方で1時間に100ミリを超す猛烈な雨が降った。台風も大型で、竜巻も多かった。今年の日本の夏は“異常気象”が頻発し、猛暑、豪雨、渇水、竜巻に見舞われ、気象庁は「これまで経験のないような○○」という表現を使った。

このような状況の中で、世界の科学者集団であるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、先月6年ぶりに第五次報告書を公表した。「地球温暖化は疑う余地がなく、20世紀後半に観測された地球温暖化の主因は95%以上の確率で人間活動」と再確認した。また、ほとんどの陸域で極端な高気温の頻度が増すことはほぼ確実と分析する。人類共通の最大の課題である地球温暖化(気候変動)に対して、世界各国の対策が遅々として進まない現状に、科学界が再び警鐘を鳴らした格好である。

近年、世界的にも各地で異常高温・低温をはじめ洪水、干ばつ、熱波、寒波などの極端現象が頻発しており、経済的被害も増大傾向にある。地球温暖化の影響は、日本でも今後さらに顕著となろう。地球温暖化は生態系にも影響を及ぼし、まず農業や水産業に変化が現れる。遅かれ早かれ、いずれ産業立地や産業構造にも影響が出てこよう。200年前の産業革命は化石燃料に依存する経済・社会を形成し、人類が地球資源を過剰に消費した結果、今まさに地球温暖化として表面化したのである。

人類文明の発祥は、その地の気候風土や自然環境に大きく左右された。しかし、現代では逆に、人類文明が地球環境に大きな影響を及ぼし始めている。それゆえ、地球温暖化と生態系劣化に代表される地球環境問題の本質を考えるには、人類文明史的な視点が不可欠であると考えられる。

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