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- 韓米FTAが韓国の民間医療保険市場に与える影響
2013年09月19日
■要旨
- 韓国は金大中氏が大統領に就任した1998年以降、FTAを推進する方向に政策を転換しており、1999年にチリを皮切りとしてFTA交渉をスタートし、2000年代半ば以降更に積極的にFTAの推進に乗り出している。
- 韓国政府がFTAを積極的に推進している理由としては、(1)「狭い国内市場」への危機意識と対外経済依存度の高さ、(2)対外経済環境の変化への対応、(3)輸出競争国の日本の存在が挙げられる。
- 韓国とアメリカ間のFTAは、2007年4月に妥結された後、2011年の追加交渉を経て韓米両国の批准手続きが完了され、2012年3月15日に発効した。
- 韓国における国民医療費のうち、公的医療費が占める割合は1995年の38.5%から2010年には58.2%まで着実に増加している。しかしながら、OECD平均72.2%を大きく下回っていて、他の国に比べて私的医療費が占める割合がまだまだ高い水準である。
- 韓国の私的医療費の割合が高い理由として、(1)保険適用診療に対する患者本人負担割合が相対的に高いことや(2)医療保険の保険給付が適用されない混合診療が許容されていることが挙げられる。
- 公的医療保険制度の低い保障率を補完するために、国民の多くは民間医療保険制度に加入しており、ある調査によると調査対象の77.5%が1つ以上の民間医療保険に加入していることが明らかになっている。
- 韓米FTAの対象範囲は、商品に対する関税の撤廃のほか、サービスや投資の自由化まで包括するなど、ほぼすべての業界に関連しているので、金融サービス分野の一つである保険だけではなく、保健医療サービス分野、製薬産業分野など民営医療保険と関連した分野も韓米FTAの影響を受けざるを得ない。
- 韓国政府は、経済自由区域内における営利病院の設立や、医療観光や医療クラスター形成の活性化、そして保険会社が外国人患者を国内医療機関に紹介・斡旋することを許容するなどの政策を推進しており、これらは将来的には医療民営化に繋がっていく可能性が高い。
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