2013年08月30日

鉱工業生産13年7月 ~生産の回復ペースは引き続き緩やか

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・生産の回復ペースは引き続き緩やか
・輸送機械の増産が一巡

■要旨

経済産業省が8月30日に公表した鉱工業指数によると、13年7月の鉱工業生産指数は前月比3.2%と2ヵ月ぶりの上昇となったが、事前の市場予想(QUICK集計:前月比3.7%、当社予想も同3.7%)は若干下回った。7月の生産は高い伸びとなったが、6月の大幅な落ち込み(前月比▲3.1%)の反動による部分も大きく、景気の山であった12年春頃の水準を引き続き下回っている。輸出の伸び悩みを背景に鉱工業生産の回復ペースは依然として緩やかなものにとどまっていると判断される。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は13年4-6月期の前期比▲0.2%の後、7月は前月比3.7%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷は13年4-6月期の前期比4.0%の後、7月は前月比0.6%となった。GDP統計の設備投資は、12年1-3月期から13年4-6月期まで6四半期連続で減少しているが、13年入り後はほぼ下げ止まっており、7-9月期は7四半期ぶりの増加となる可能性が高いだろう。
消費財出荷指数は13年4-6月期の前期比▲2.8%の後、7月は前月比▲0.8%となった。耐久消費財(前月比▲1.8%)、非耐久消費財(前月比▲0.6%)ともに低下した。個人消費はこれまで景気の牽引役となってきたが、ここにきてその勢いには陰りが出てきた。旅行、外食などのサービス消費が引き続き堅調に推移しているため、個人消費全体の増加基調は維持されていると判断されるが、13年1-3月期、4-6月期ともに前期比0.8%の高い伸びとなったGDP統計の個人消費は7-9月期には伸び率が大きく低下することが予想される。
製造工業生産予測指数は、13年8月が前月比0.2%、9月が同1.7%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(7月)、予測修正率(8月)はそれぞれ▲1.3%、▲0.2%といずれもマイナスとなった。
12年末から13年初め頃にかけて生産の牽引役となっていた輸送機械は、新車投入効果の一巡などから国内販売の回復が頭打ちとなっていることもあり、7月の前月比1.9%の後、8月が同▲2.7%、9月が同3.4%と一進一退の動きとなっている。7-9月期は3四半期ぶりの減産となる可能性が高い。
13年7月の生産指数を8月、9月の予測指数で先延ばしすると、13年7-9月期は前期比2.4%となり、3四半期連続の増産となることはほぼ確実とみられる。ただし、生産計画が下方修正される傾向があることを考慮すると、実際には4-6月期(前期比1.5%)を若干上回る程度の伸びとなることが予想される。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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