2013年07月26日

消費者物価(全国13年6月)~コアCPI上昇率は年末にかけて1%近くまで拡大へ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・コアCPIは1年2ヵ月ぶりのプラス
・物価上昇品目数が2ヵ月連続で増加も、引き続き下落品目数を下回る
・コアCPI上昇率は年末にかけて1%近くまで拡大へ

■introduction

総務省が7月26日に公表した消費者物価指数によると、13年6月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.4%(5月:同0.0%)となり、1年2ヵ月ぶりのプラスとなった。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(5月:前年比▲0.9%→6月:同6.4%)が3ヵ月ぶりに上昇に転じ、電気代(5月:前年比8.8%→6月:同9.8%)、ガス代(5月:前年比2.1%→6月:同2.8%)、灯油(5月:前年比0.9%→6月:同6.2%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー価格の上昇率は5月の前年比3.7%から同7.0%へと大きく高まった。なお、テレビ、パソコンなどの教養娯楽耐久財は2月の前年比▲20.3%から6月には同▲3.5%へと下落幅が大きく縮小しており、この4ヵ月でコアCPIを0.3ポイント程度押し上げている。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.61%(5月は0.33%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.07%(5月は▲0.09%)、その他が▲0.14%(5月は▲0.24%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、6月の上昇品目数は194品目(5月180品目)、下落品目数は266品目(5月は277品目)となった。上昇品目数の割合は37.0%(5月は34.4%)、下落品目数の割合は50.8%(5月は52.9%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は▲13.7%(5月は▲18.5%)であった。上昇品目数の割合は2ヵ月連続で上昇したが、依然として下落品目数の割合を大きく下回っており、物価上昇品目が5割を超えていた07、08年頃とは状況が異なっている。コアCPI上昇率はプラスに転じたが、物価上昇の裾野が広がりを伴ったものとなるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
米国経済の好調や地政学リスクの高まりを背景とした原油価格の上昇に伴い、ガソリン店頭価格はこのところ大幅に上昇しており、エネルギー価格は先行きも高めの伸びが続くことが見込まれる。また、食料品(生鮮食品を除く)の前年比上昇率は現時点ではマイナス圏の動きが続いているが、原材料価格の上昇を価格転嫁する動きはすでに顕在化し始めており、近いうちにプラスに転じることが確実とみられる。さらに、13年度中は消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあり、需給バランスの大幅な改善が続くことが見込まれることも物価の上昇要因となる。コアCPIの上昇率は年末にかけて1%近くまで高まることが予想される。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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