2013年07月23日

良い物価上昇と悪い物価上昇

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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■要旨

消費者物価(生鮮食品を除く総合)は2013年6月に1年2ヵ月ぶりに前年同月比でプラスに転じた後、上昇ペースが徐々に高まっていくことが予想されるが、ここにきて悪い物価上昇への懸念が高まっている。悪い物価上昇が望ましくないことは言うまでもないが、これまで「良い物価上昇」、「悪い物価上昇」はどのくらいの確率で出現してきたのだろうか。

消費者物価上昇率が加速した局面において、需給バランスの改善と実質賃金の上昇が同時に起こった場合を「良い物価上昇」、需給バランスの悪化と実質賃金の低下が同時に起こった場合を「悪い物価上昇」として、日本、アメリカ、イギリス、ドイツの1970年以降の四半期データをもとに、それぞれの出現確率を求めた。

いずれの国でも、「悪い物価上昇」の確率が「良い物価上昇」の確率を上回った。「良い物価上昇」の確率はアメリカで7%、それ以外の国は20%台、「悪い物価上昇」の確率は4ヵ国ともに30%前後だった。

過去の実績からみて、需給バランスの改善と実質賃金の上昇が揃った形で物価上昇が加速するという「良い物価上昇」を続けていくことは困難である。さらに、消費税率引き上げ時期を含む2年間でこれを実現することは至難の業と言ってもよいだろう。何が何でも2%の物価目標を達成するということであれば、初めから「悪い物価上昇」を甘受する覚悟が必要かもしれない。


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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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