2013年07月19日

ユーロ圏の銀行同盟 -注視すべきは進展スピードだけではない

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  1. 今年6月のEU首脳会議も、昨年同様、成長と雇用がメインテーマの1つであった。市場の圧力こそ弱まっているが、域内の成長と雇用の格差、銀行市場の分断の解決策として、統合の深化、特に財政同盟と銀行同盟の必要性はむしろ高まっている。
  2. 銀行同盟は当初の工程表よりやや遅れ気味だが、工程表作成の先送りが続く財政同盟に比べれば、遥かに具体的な進展が見られる。しかし、単一の銀行監督制度(SSM)、共通の銀行破綻処理制度(SRM)と預金保険制度という3つの構成要素の進捗状況は異なる。先行しているのはECBによるSSMへの監督の一元化である。破綻処理はベイル・インのルールの大枠で合意、破綻処理委員会と基金からなるSRMの設立議論が始まった段階だ。預金保険は段階的な制度調和の過程で、相互融通化までが当面の目標である。
  3. 銀行同盟の取り組みは、進展のスピードだけではなく、3つの構成要素が揃うタイミングや各機関の権限、各国当局の裁量の範囲、ルール変更の影響なども注視が必要だ。



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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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