2013年07月01日

日銀短観(6月調査)~大企業製造業の景況感は12改善の4、先行きは10へ

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. 大企業製造業の業況判断D.I.は4と前回調査から12ポイントの大幅上昇を示し、景況感の順調な改善が示された。大企業非製造業のD.I.も12と6ポイント改善した。前回調査以降、5月下旬にかけて円安が進行、海外では米経済が堅調に推移し、国内では株価上昇に伴って消費マインドが回復するなど事業環境が改善、景況感の改善に繋がった。中小企業も改善幅こそ大企業には及ばないものの、製造業、非製造業ともに改善し、景況感の改善が大企業から波及してきているとみられる。先行きについても、米国を中心とする海外経済の回復やアベノミクスへの期待が続き、製造業では企業規模を問わずさらなる景況感改善が示され、非製造業でも横ばいと景況感は底堅い。
  2. 13年度設備投資計画は2.0%増と上方修正され、プラス圏に浮上した。例年6月調査では上方修正となる傾向が強いうえ、事業環境と企業収益の改善もプラスに寄与したとみられる。ただし、2.0%という伸び率は力強くはない。設備投資を積極的に積み増すには中長期の成長期待が改善することが不可欠であり、まだその状況には至っていないと考えられる。
  3. 大企業製造業の販売価格判断D.I.は、足元・先行きともに上昇しているものの、D.I.の水準は先行きでも依然マイナス圏(すなわち「下落」が優勢)となっており、企業のインフレ期待にはやや伸び悩み感がある。



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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

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