2013年06月11日

欧州経済見通し-問われる雇用の危機への対応力-

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  1. ユーロ圏のマイナス成長は今年4~6月期まで続く見通しだ。7~9月期には下げ止まりが期待されるが、参加国の多くが財政健全化に取り組む一方、金融緩和策の効果が債務危機国には及ばないため、回復のペースは緩慢に留まる見通しである。
  2. 2013年はマイナスのゲタも影響し、年間の成長率はマイナス0.6%と落ち込む。2014年は1%成長への緩やかな回復が期待される。銀行システムの強化、雇用対策の遅れは、不況をさらに長引かせるリスクとなる。
  3. ユーロ圏全体の経常収支は黒字転化、債務国でも対外不均衡はほぼ解消している。金融安全網が強化されたことで、ユーロ圏が世界的な金融混乱の引き金となるリスクは大きく後退しているが、外部環境の悪化に対して脆弱である。
  4. イギリスでは、個人消費の緩やかな拡大の半面、投資減少は続き、輸出も伸び悩んでいる。今後の回復も緩慢なペースに留まる見通しだ。ポンド安、インフレへの警戒も必要なため、カーニー新総裁誕生後のBOEがさらに異次元の緩和に踏み込む可能性は低い。



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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

(2013年06月11日「Weekly エコノミスト・レター」)

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