2013年05月21日

【タイGDP】高成長見通しに黄信号点灯か

研究員   高山 武士

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1.弱含みが見られる結果

タイの国家経済社会開発委員会事務局(NESDB)は5月20日に2013年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で+5.3%となり、洪水からの復旧で大幅に伸びていた前期(前年同期比:+19.1%)から失速した。前年同期は洪水被害が残っており、ベース効果で成長率が高めに出やすいことを考えると、5%台の伸び率を記録したものの、弱い結果だったといえるだろう。前期比(季節調整値)で見ても2.2%の減少となり、復興需要と景気刺激策に支えられた急回復からの反動が感じられる。


2.高成長に黄信号点灯か

10-12月期は前年同期比+19.1%と予想以上の高成長を達成したタイだが、その反動もあって、今回発表された1-3月期の伸び率は力強さに欠けた結果だったと言える。そして、今後についても成長率が弱含む懸念は残る。

NESDBは、対ドルでのバーツ高や円安の進行がタイの競争力を削ぐと見ており、輸出の伸び悩みはしばらく続くと想定される。また、今後は内需の息切れがさらに鮮明になってくるだろう。一方、中期的に見れば成長を後押しする材料もある。インラック政権が公表した約2兆バーツ(対GDP比で約18%)のインフラ投資計画(2020年までの7年間にわたる計画、過半が鉄道の整備に充てられる予定)は、長期的な潜在成長率を引き上げる要因となる。

したがって、今後は内需・外需双方の動向と政府の投資計画の進捗に注目が集まるだろう。短期的には中銀が利下げを行い、バーツ高の抑制と内需の喚起を促す可能性が高いと見られるが、実際にどれだけの効果が見られるかが焦点となるだろう。また中期的には、インラック政権が安定した政策運営を続け、インフラ投資計画を実行していけるかが注目されるだろう。

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