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- アジア新興国・地域 中央銀行の政策と傾向
■見出し
1――はじめに
2――中央銀行の基本的な役割
3――各国の金融政策スタンス
■introduction
はじめに
日本ではバブル崩壊以降、欧米ではリーマンショック以降、中央銀行は政策金利をほぼゼロまで引下げている。そして金融政策手段の中心は、伝統的な政策金利の調節から量的緩和や信用緩和など、いわゆる非伝統的金融政策に移っている。
一方、アジア新興国・地域における主な金融政策手段は、政策金利の調節である。リーマンショック以降、アジア新興国・地域でも、各国・地域における歴史の中では最低水準まで政策金利を引き下げた国・地域もがあるが、日米欧先進国のようにほぼゼロという水準までには至っていない。これがゼロ金利制約に直面している先進国とは決定的に異なる点である。本稿では、こうしたアジア新興国・地域における中央銀行の基本的な役割(中央銀行の機能など)を概観し、各国・地域における金融政策の傾向について考えたい。
ただし、本稿では金融政策(政策金利の変更等)が実体経済に及ぼす影響力についてよりも、中央銀行の金融政策に対する姿勢、つまり各国・地域の中央銀行が緩和的な金融政策スタンスなのか、あるいは緊縮的なのかといった点について考えたい。なぜなら、中央銀行の金融政策の変更に対する短期的な反応としては、金融政策決定会合後の株や為替が買われる(売られる)など金融市場での変化が多く、実体経済への効果・影響について評価されることが少ない(そもそも難しい)と感じるためである。つまり、短期的な動きを予測するには中央銀行の姿勢について知ること自体が有用になると考えられるからである。
結果の概要
テイラールールにもとづき、足もと(2012年末時点)のアジア新興国・地域の金融政策を評価すると、(過去の中央銀行の姿勢と比較して)インド・韓国では緊縮的であり、インドネシアは緩和的であった。これはつまり、今後、インドや韓国では金利を引き下げる方向に動きやすく、インドネシアでは金利を引き上げる方向に動きやすいことを意味していると考えられる。その他の国については、現状の政策金利は緩和的でも緊縮的でもない中立なものであった。ただし、フィリピンの場合は、物価や景気に対して金融政策を変更してきた様子は(少なくともテイラールールに沿った形では)なく、物価や景気以外の理由で政策金利を変更している可能性があることが示唆された。
03-3512-1818
- 【職歴】
2002年 東京工業大学入学(理学部)
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
公式SNSアカウント
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