2013年04月03日

過去と同じ轍を踏まない冷静さが必要

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アベノミクスへの期待から円安と株高に沸いている。世界的な金融危機の影響により悪化した積立状況に改善が見込まれ、企業年金運営において極めて好ましい状況と言える。

しかし足元の運用環境の好転を受けて、短絡的に年金運用のリスクを高めることはもちろんのこと、円安と株高によって高まったリスクを無闇に放置することも厳に慎むべきであろう。

企業年金の株式組入比率は2003年から2007年にかけて引き上げられたが、その矢先に世界的な金融危機に見舞われ、年金資産を大きく毀損する事態を招いた。この時の教訓を忘れてはならない。

財政運営基準は金融危機時の緩和措置が打ち切られ、2013年3月末以降、積立基準が実質的に強化されている。こうした基準改正が受給権保護を強化するものであり、リスク管理に重点を置いた年金運用を促すものであることを肝に銘じる必要がある。

アベノミクスによる構造変化への期待は大きい。しかし過去と同じ轍を踏まないために、そして企業年金の持続可能性を高めるためにも、短期的な相場動向に惑わされることなく、中長期的な視点に立った冷静さと慎重さが企業年金運用に求められる。

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【過去と同じ轍を踏まない冷静さが必要】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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