2013年03月11日

2月マネー統計~マネー供給量が実質過去最高を連続更新

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 順調に増加
・マネタリーベース: 実質的に2ヵ月連続で過去最高を更新
・マネーストック: 通貨量の増勢が顕著に

■introduction

日銀が3月8日に発表した2月の貸出・資金吸収動向等によると、銀行貸出(平残)の伸び率は前年比1.9%(前月は同1.6%)と、4ヵ月連続で上昇した。伸び率の水準は09年8月以来の水準となる。電力会社向けやM&A資金が伸びた模様で、銀行貸出は順調に増加している。

業態別の内訳では、地銀(第2地銀を含む)が前年比2.6%(前月は2.5%)、都銀等が同1.1%(前月改定値は0.6%)と、都銀の伸び率拡大が著しい。地銀・都銀の両輪が揃いつつあることが、ここ数ヶ月の銀行貸出の加速に繋がっている。
都銀・地銀の貸出シェアを見ると、従来長きにわたって地銀のシェア拡大が続いていたが、最近は都銀がやや巻き戻す展開になっている(図表1~4)。

なお、“残高”の論点では好調さが見えるが、貸出環境自体が順風満帆なわけではない。 一つは金利低下だ。特に長期の新規貸出金利は日銀の金融緩和強化などを受けて低下基調に歯止めがかかっておらず、足元は1%程度に過ぎない。緩和姿勢はこれからも長期にわたって続くため、採算の低迷を量の拡大で賄えるかどうかがポイントになる(図表5)。
また、倒産動向も今後は注目だ。09年末に施行された「中小企業金融円滑化法」が今月末に期限を迎えるためだ。金融庁は期限切れ後も銀行に柔軟な対応を求めているうえ、支援策も拡充されているものの、効果は未知数。銀行のスタンス次第では、これまで同法によって抑えられてきた倒産件数が増加に転じ、不良債権が顕在化する恐れもある(図表6)。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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