2013年03月01日

消費者物価(全国13年1月)~コアCPIの下落率はいったん拡大した後、13年度前半には上昇へ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し


・コアCPIは3ヵ月連続のマイナス
・物価下落品目数の割合は7ヵ月連続で50%を上回る
・コアCPIの下落率はいったん拡大した後、13年度前半には上昇へ

■introduction

総務省が3月1日に公表した消費者物価指数によると、13年1月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.2%(12月:同▲0.2%)と3ヵ月連続のマイナスとなり、下落率は前月と変わらなかった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(12月:前年比4.4%→1月:同4.0%)、ガス代(12月:前年比2.3%→1月:同1.8%)の上昇幅が若干縮小する一方、ガソリン(12月:前年比2.8%→1月:同4.6%)、灯油(12月:前年比3.9%→1月:同7.5%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー価格の上昇率は12月の前年比3.4%から同3.9%へと高まった。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.34%(12月は0.30%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.11%(12月は▲0.09%)、その他が▲0.43%(12月は▲0.41%)であった。
13年2月の東京都区部のコアCPIは前年比▲0.6%(1月:同▲0.5%)となり、下落率は前月から0.1ポイント拡大した。
外国パック旅行が1月の前年比▲6.2%から同8.2%へと上昇に転じたことがコアCPIを前月に比べ0.1ポイント程度押し上げたが、被服及び履物が1月の前年比▲0.1%から同▲2.4%へと下落率が拡大したこと、昨年2月に調査銘柄変更に伴い指数水準が急上昇したテレビがその影響が一巡したことにより下落率が大きく拡大(1月:前年比▲8.1%→2月:同▲32.8%)したことが、それぞれコアCPIを▲0.1ポイント程度押し下げた。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.31%(1月は0.34%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.21%(1月は▲0.19%)、その他が▲0.71%(1月は▲0.66%)であった。
全国のコアCPIはテレビの下落率が大きく拡大すること、昨年春頃の水準が高かったガソリン価格の前年比上昇率が縮小することから、2月以降はマイナス幅がいったん拡大する可能性が高い。ただし、原油価格の高止まり、円安の進行を受けてガソリン店頭価格は12週連続で上昇しており、前年比上昇率は夏場にかけて再び大きく高まることが見込まれる。さらに、昨年の東京電力に続き関西電力、九州電力などで電気料金の値上げが見込まれること、円安の影響が輸入物価の上昇を通じて国内物価に波及することなどから、13年度入り後にはマイナス幅が縮小し、年度前半には上昇に転じることが予想される。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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