2013年03月01日

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東日本大震災から2年が経過した。未だに32万人もの方々が避難を続け、住宅再建や各種産業の復興などは道半ばである。とりわけ原発事故への対応は、除染や廃炉などが遅々として進んでいない。この大災害を教訓として、年金のリスク管理を考えてみたい。

資産運用では一般的なストレステストだが、原発事故から「本当に過酷なシナリオとは何か」「どう対処するか」などの、テールイベントに対する想定や対応策の重要性を改めて確認した。将来の原発依存度が議論されているが、仮に2030年に原発をゼロにしても、廃炉や使用済核燃料の処理などは非常に長期に亘る対応が必要となる。一旦原発を動かしたら、もう最初の状況を前提にできない。年金においても、既に導入した制度、保有している資産は所与のものとして議論をしなければならない。原発、厚生年金基金ともに廃止を含めた今後の在り方が検討されているが、経済活動や国民生活に大きな影響を及ぼすものであり、存廃の判断には十分な議論が必要だろう。

一見すると無関係に思える災害と年金だが、リスク管理という視点で考えると、このように共通する部分がある。未曾有の大震災からの早期の復興を願うとともに、これから得られた貴重な教訓を次のリスク管理に活かさなければならない。

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【東日本大震災からの教訓】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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