2013年03月01日

順張りと逆張り、どっちが有利?

金融研究部 チーフ債券ストラテジスト・年金総合リサーチセンター兼任   千田 英明

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運用でマーケット平均を上回ろうとした場合、大きく2つの投資スタイルがあると考えられる。一つは「順張り」で、マーケットが上昇(下落)したら更に上昇(下落)すると予測し、今後も同じ方向に動くことに賭ける方法である。長期間に渡り相場が上昇(下落)し続けるなど、いわゆる相場の流れ(方向性)がしっかりとしているときに有効である。もう一つは「逆張り」で、マーケットが上昇(下落)したら次は下落(上昇)すると予測し、今後は逆の方向に動くことに賭ける方法である。短期間で相場の流れがころころと変わる、いわゆるもみ合いの相場で有効である。

どちらも運用方針を決定する際の重要な判断要素となっているが、全く逆の行動をとることになる。そのため、どちらに重点を置くかは非常に重要である。一般的に順張りの方が有利と言われているが、実際はどうなっているのかをシミュレーション(図表1)してみた。

国内株式マーケットにおいて1992年4月から2012年3月までの20年間、月次サイクルで投資判断を検討し、売買を繰り返すシミュレーションを実施した。シミュレーションでは、株式を空売りすることは一般の投資家には困難なため、株式(TOPIX)を100%保有または全く保有しない(0%)のどちらかを選択することにした。つまり順張りの場合、前月の収益率がプラスならば翌月は株式を100%保有、前月の収益率がマイナスならば翌月は株式を全く保有しない(現金で保有すると仮定するため収益率0%)。逆張りの場合はこの正反対で、前月の収益率がプラスの場合、翌月は株式を全く保有しない、前月の収益率がマイナスの場合、翌月は株式を100%保有とした。また、途中で残高が増減して収益率の割合が時期によって異なる影響を排除するため、残高は毎月末に元の水準に戻すと仮定した。つまり、株式が上昇して残高が増加した場合、増加分を売却して元の水準まで残高を減らし、株式が下落して残高が減少した場合、現金を追加投入して残高を元の水準まで戻す。よって、20年間合計の収益率は各月の収益率を単純合計して算出している。

その結果は次のとおりとなった。順張りでは20年間合計の収益が+24.2%、逆張りでは-16.6%となり、やはり順張りの方が有利のようである。ただし、シミュレーション期間を区切って年度別にみると逆張りの方が有利だった年度もあるため、常に順張りの方が有利だったという訳ではなく注意が必要である。一方、売買サイクルを短くし、週次で売買を繰り返す同様のシミュレーションを実施してみた。すると、順張りでは-60.6%、逆張りでは+72.4%となり、月次とは逆の結果になった。月次では順張りが有利であったが、週次では逆張りの方が有利のようである。

株価は日々大きく変動している。そのため、トレンドが発生しているときも、上下に変動しながらトレンドを形成している。よって、順張りとしてトレンドに追随するときは、日々の変動に惑わされず、忍耐強くじっくりと運用することが必要ということであろう。一方、短期的な変動も収益機会と捉えて売買を繰り返す場合、思い切った選択(逆張り)が必要となる。そこでは相場の過熱感を見極め、機動的に売買を実行しなければならない。そうすることにより、順張りにして長期のトレンドを捉えるよりも大きな収益を得られる可能性がある。

このように、順張りと逆張りのどちらが有効であるかは、その運用期間や売買サイクル、投資対象物など、様々な要素によって変わる。将来のマーケットが過去を繰り返すとも限らない。運用方針を決定する際は、マーケットの特性や運用期間などを十分に分析しながら、検討する必要がある。

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金融研究部   チーフ債券ストラテジスト・年金総合リサーチセンター兼任

千田 英明 (ちだ ひであき)

研究・専門分野
運用手法開発(国内債券)、証券化商品

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