2013年02月28日

鉱工業生産13年1月~景気の底打ちを再確認

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・生産は2ヵ月連続の上昇
・1-3月期は4四半期ぶりの増産が確実に

■introduction

経済産業省が2月28日に公表した鉱工業指数によると、13年1月の鉱工業生産指数は前月比1.0%と2ヵ月連続の上昇となったが、先月時点の予測指数の伸び(前月比2.6%)、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.5%、当社予想は同0.9%)は下回った。出荷指数は前月比0.1%と2ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比▲0.5%と6ヵ月連続の低下となった。在庫循環図上は引き続き「在庫調整局面」にあるが、在庫調整は順調に進展している。
1月の生産を業種別に見ると、国内販売の持ち直しや米国向け輸出の堅調を背景に輸送機械が前月比6.8%と12月(同6.8%)に続き高い伸びとなったほか、自動車との関連性が高い鉄鋼も前月比6.6%の高い伸びとなった。一方、内外の設備投資の弱さを反映し一般機械は前月比▲4.1%と落ち込んだ。速報段階で公表される16業種中、9業種が前月比で上昇、7業種が低下した。
製造工業生産予測指数は、13年2月が前月比5.3%、3月が同0.3%、生産計画の修正状況を示す実現率(1月)、予測修正率(2月)はそれぞれ▲1.3%、1.6%となった。実現率は3ヵ月連続のマイナスとなったが、予測修正率は11ヵ月ぶりにプラスとなっており、生産の先行きをみる上では明るい材料といえる。
予測指数を業種別に見ると、2月は全ての業種が前月比で上昇となっているのに対し、3月は情報通信機械、電子部品・デバイス等5業種が前月比で低下となっている。ただし、いずれも2月の上昇幅に比べれば3月の落ち込みは小幅にとどまっている。また、生産底打ちの主因となった輸送機械は2月まで前月比5.5%と好調を維持した後、3月は同▲3.3%と減少に転じる見込みとなっているが、12月から2月までの3ヵ月で約20%の高い伸びとなった後(2月は予測指数で先延ばし)であること、1月の実現率(1.2%)、2月の予測修正率(2.2%)がともにプラスとなっていることからすれば、増加基調は崩れていないと判断される。鉱工業生産は輸送機械をけん引役として当面堅調に推移する可能性が高い。
13年1月の生産指数を2月、3月の予測指数で先延ばしすると、13年1-3月期は前期比5.9%の大幅上昇となる。輸出が引き続き低調な動きとなっていることには留意が必要だが、13年1-3月期が4四半期ぶりの増産となることはほぼ確実となった。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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