2013年02月25日

米国の保険会社等に対するシステミック・リスク規制の動向 -生保に対する規制適用の是非に関する議論を中心として

小松原 章

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■見出し

1――保険会社等銀行以外の金融機関に対するシステミック・リスク規制の動き
2――生保業界等関係者の対応

■introduction

2008年に発生した金融危機においては大規模・複合業務を行う金融機関が経営危機に直面した場合、リスクが市場を通じて迅速かつ広範囲に伝播し、金融システムが機能不全に陥ることによって実体経済に著しい被害を与えるというシステミック・リスクの弊害が強く認識されるようになった。
システミック・リスク対応等の観点から新たな金融規制改革に乗り出した米国政府は、2010年7月に包括的な金融規制改革法であるドッド・フランク法を成立させ、一種の業種横断的な監督体制を整備することとなった。
具体的には、財務長官を長とする金融安定監視評議会(Financial Stability Oversight Council、以下FSOC)を設置することによってシステミック・リスクの監督を行うこととし、金融システムにとって重要な金融会社として大規模銀行持ち株会社(総資産500億ドル以上)以外に保険を含むノンバンク金融会社(以下、「特定ノンバンク」とする)を指定する権限を与えることとなった。
「特定ノンバンク」を含めたシステミック・リスク対象会社は、FRBの監督下に入り、他の金融機関よりも厳格な健全性規制(自己資本規制、流動性規制等)が課せられることとなった。
そこで、FSOCは、「特定ノンバンク」を指定するための具体的な規則制定を求められることとなり、2010年秋口以降規則案の作成作業(規則提案、パブリック・コメント等)に取り組んだ結果、2012年4月に「特定ノンバンク」指定に関する最終規則(Authority to Require Supervision and Regulation of Certain Nonbank Financial Companies)を公表した。

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