2013年02月01日

金融市場の動き(2月号)~株価上昇の中で浮かび上がる課題

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. (株価) 1月も日経平均株価は7.2%の高い伸びを記録した。今回の株価上昇は、円安進行との連動性が極めて高い点が特徴だ。ただし、時間軸を伸ばすとまだ日本株の出遅れ感は続いている。11月中旬以降の株価とドル円レートの関係性が続くと仮定した場合、出遅れが完全に解消するのに必要な円安水準は106.1円となり、まだ相当な距離感がある。次に為替以外の出遅れ要因を探るべく、足元とドル円水準が同じであった2010年6月とを比較してみると、「資源・エネルギー多消費型」業種の下振れ幅が大きく、全体を押し下げている。当時と比べ、エネルギー価格は大きく上昇しているため、円安とのいわばダブルパンチ状態になっていると考えられる。原油などの価格は今後も上昇に向かう可能性が高い。円安は日本経済・日本株全体にとってはプラスと考えるが、ともに原油価格上昇に弱い体質になっているだけに、これまで以上の警戒が必要になるだろう。
  2. (日米欧金融政策) 1月は欧米が金融政策を維持する一方、日本が物価目標2%導入のうえ、2回連続での追加緩和を決定した。欧州危機の後退、景気の改善見通しなどから欧米が様子見スタンスになる中で、日銀の緩和スタンスが際立っている。
  3. (金融市場の動き) 1月の金融市場は、円安ドル高、ユーロドル上昇、長期金利は低下した。ドル円相場は、日銀次期総裁人事本格化に伴って当面底堅さを増しそうだが、欧米政治イベントの展開次第では一時的な円高方向への巻き戻しも。



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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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