2013年02月01日

グロースバイアスと年金運用

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グロースバイアスとは複利の効果(成長力)を少なく見積もる行動バイアスであり、投資意思決定に潜む罠の一つである。このバイアスが大きい投資家は、負債を過小評価することや、短期志向の投資を選好することなどで、意思決定を間違えてしまうことが実証されている。グロースバイアスの資産運用への影響は短期的には小さいかもしれないが、長期では大きなインパクトがある。
最近の年金運用では、長期にじっくり投資をするという考え方が影をひそめ、毎年毎年の目標を達成しようとする傾向を以前より強く感じる時がある。年金資産が時価評価されるという企業会計制度の影響が直接的な原因であろうが、グロースバイアスがこの影響を強めている可能性もある。
一般に、このような行動バイアスは個人投資家だけでなく、機関投資家にもあてはまることが知られている。長期金利と比較して負債の予定利率は十分には下がっているわけではなく、負債の増加には複利の効果がある。一方、運用サイドでは株価の成長を低く見積もり、短期的な損失を回避する運用戦略をとっているとすれば、当面の目標は達成されるだろうが、長期的には資産と負債の乖離が広がる可能性がある。

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