2013年01月31日

アジアREIT市場の現状と投資上の注意点

金融研究部 主任研究員   増宮 守

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  • 2012年、価格推移の強さが目立った投資対象のひとつにアジアREIT(不動産投資信託)を挙げることができる。アジアの株式市場は総じて好調であったが、代表的なアジアのREIT指数は各国の株価指数をさらにアウトパフォームした。
  • 価格上昇の背景には、グローバルに広がるカネ余りとリスク意識の高まりがあり、アジアREITは比較的安全な資産として、リスク回避資金の受け皿になったと考えられる。また、グローバルREITファンドのポートフォリオウェイト引き上げによる価格上昇圧力を受けたほか、中国でもカネ余りが広がるなか、一部の中国資金がアジアREITに向かったとも考えられる。
  • アジアREITの国別内訳では、シンガポールと香港が約8割を占める。シンガポールと香港は、世界景気の影響を強く受ける国際金融都市であり、現在のアジアREITは新興市場の高成長を直接的に反映するものとはいえない。今後も欧州経済の低迷が続き、グローバル経済の回復が遅れる場合、シンガポールや香港市場が影響を受ける可能性に注意が必要である。
  • アジアREITの価格水準は、J-REITとの単純な比較で割高ではないが、市場流動性が小さく価格変動性が大きい。また、J-REITと比べセクター配分の点で大きく異なる特徴を持つ。投資対象資産の約半分がオフィス、次いで住宅の比率が大きいJ-REITに対し、アジアREITでは商業施設や物流の比率が高い他、ホテルや、J-REITではまだ検討中のヘルスケアも含まれている。これらのセクターは個別性が強いため、収益予測には十分な調査が必要となる。
  • 投資に際しては、アジアREITファンドがアジア新興市場の高成長を直接的に反映するものではないことや、個別銘柄は価格変動性が大きく、投資対象資産が個別性の強いものであること、加えて日本の投資家は為替リスクにも十分に注意したい。中長期的には、中国本土やASEAN各国でもREIT市場の整備、拡大が進み、アジアREITはより成長性を反映するものになるため、今後も注目すべき投資対象であることに間違いはないだろう。
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金融研究部   主任研究員

増宮 守 (ますみや まもる)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

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