2012年12月28日

雇用関連統計12年11月~雇用情勢の急速な悪化は回避される公算

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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■見出し

・失業率は前月から0.1ポイント低下の4.1%
・雇用情勢の急速な悪化は回避される公算

■introduction

総務省が12月28日に公表した労働力調査によると、12年11月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の4.1%となった。就業者数は前月から9万人減少したが、労働力人口が11万人減とそれを上回る減少となったため、失業者数は前月から2万人の減少となった。非労働力化の進展が失業率の低下に寄与する形となっておりあまり良い内容とは言えないが、労働需給に敏感に反応する雇用者が10月の31万人増に続き11月も13万人増となった点は評価できるだろう。
厚生労働省が12月28日に公表した一般職業紹介状況によると、12年11月の有効求人倍率は前月から横ばいの0.80倍となった。有効求職者数は前月比0.6%と3ヵ月連続で増加したが、有効求人数が前月比0.5%と小幅ながら5ヵ月ぶりに増加した。
有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.02ポイント上昇し1.31倍となった。新規求職申込件数が前月比▲1.1%と2ヵ月連続で減少する一方、新規求人数が前月比0.1%と小幅ながら2ヵ月連続で増加した。
新規求人数を産業別に見ると、製造業は前年比▲9.4%と6ヵ月連続で減少し、減少幅は10月の同▲5.6%から拡大したが、卸売・小売業(前年比10.7%)、情報通信業(前年比16.4%)は前年比で二桁の伸びを維持した。
景気は12年春頃をピークに後退が続いていると考えられるが、そうした中でも失業率が緩やかに低下するなど雇用情勢は一定の底堅さを維持している。製造業は雇用、新規求人ともに減少しているが、鉱工業生産は11月には前月比▲1.7%の減少となったものの、12月が同6.7%、13年1月が同2.4%と比較的強めの生産計画となっており、生産の持ち直しに伴い製造業の雇用も最悪期を脱することが見込まれる。
前回(08年2月~)、前々回(00年11月~)の景気後退局面では、いずれも失業率は5%を大きく超え、有効求人倍率は0.5倍を割り込むなど雇用情勢の急速な悪化が見られた。雇用関連指標は景気の遅行指標であるため、しばらく厳しい状況が続くことは避けられないが、今回の景気後退は前回、前々回と比べて景気の悪化スピードが緩やかにとどまっていること、短期間で終了することが見込まれることから、雇用情勢の急速な悪化は避けられる可能性が高い。

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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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