コラム
2012年12月10日

生涯未婚の時代-ふたつの“出会い”のマッチング

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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今年6月に公表された内閣府の「2012年版子ども・子育て白書」によると、2010年の男性生涯未婚率は20.1%、女性は10.6%で、30年前のそれぞれ7.7倍、2.4倍になった。今では男性の5人に一人、女性の10人に一人が生涯独身ということだ。生涯未婚率とは50歳時点で一度も結婚していない人の割合をいい、実際には50歳を超えて初めて結婚(初婚)する人もいるので、厳密には生涯にわたる未婚率ではないが、いずれにしても男女ともに『生涯未婚の時代』に近づいていることは確かだ。

これほど未婚者が増えている理由はなんだろう。以前は草食系男子という「恋愛や結婚に積極的ではない男性」が増えていると言われた。しかし、国立社会保障・人口問題研究所の「第14回出生動向調査」(2010年6月実施)をみると、18歳から34歳の未婚者で「いずれ結婚するつもり」という回答は、男性86.3%、女性89.4%と極めて高い。つまり、多くの若い男女は結婚の意思は持っており、今日の未婚者増加は「結婚しない」結果ではなく、「結婚できない」結果ではないだろうか。

同調査による「結婚できない」理由は、「適当な相手にめぐり会わない」や「結婚資金が足りない」などとなっている。確かに以前に比べると職場などでの男女の出会いは減少し、自治体が婚活を主導的に行っている事例もある。また、非正規雇用が増加し、安定した経済基盤が得られないために結婚できない若者も多い。2010年の30歳代男性の正規雇用者と非正規雇用者の未婚率は、30.7%と75.6%で、2.5倍もの開きがある*。日本では法律婚による嫡出子が約98%と大多数を占め、未婚率の上昇は即ち少子化を意味する。経済的に不安定な非正規雇用者の場合、結婚自体や結婚後に子どもを持つことを躊躇することも多く、今日の大きな少子化の要因のひとつになっているのだ。

このように経済的要因で結婚できない若者が増え、親の経済力に依存するために離家(世帯分離)が困難なパラサイトシングル(親同居未婚者)も多い。彼らは親と一緒に年齢を加え、自らも中高年となり、やがて生涯未婚者となっていく。結婚している有配偶者は未婚者より幸福度が高く平均寿命も長いなど、結婚の個人的効用や社会的効用は大きく、「結婚を望む人が結婚できる社会」をつくることは重要だ。そのためには、“男女の出会い”のマッチングとともに、若者の個々の能力を活かせる“職業との出会い”のマッチングが不可欠である。このふたつの“出会い”が次世代人口を再生産し、持続可能な社会をつくっていく。折しも12月から大学生の就活が本格的に始まっているが、彼等と彼女たちの、ふたつの“出会い”のマッチングがうまくいくことを期待したい。


 
* 厚生労働省「平成22年社会保障を支える世代に関する意識等調査」(2012年8月公表)

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

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