コラム
2012年11月30日

老後の準備をはじめることは金融機関と付き合うこと

金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任   北村 智紀

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年金が危ないと言われるこのご時世、老後の準備をしなければいけないと思いつつ、実際には準備をはじめられない人も多いだろう。老後の準備は、将来が不確実な中で長期投資を行うことであり、はじめようとしても分からないことも多いことが理由の一つかもしれない。

「リスク」、「ベンチマーク」、「複利の効果」、「資産配分」などという言葉をご存知だろうか。これは長期投資に必要な重要な概念だが、正確に意味がわかる人は、残念ながら少ないようだ。筆者らの研究によれば、例えば、リスクやベンチマークという言葉の意味を正確に理解できた人の割合は約2割程度であり、半数以上の人が「わかからない」と回答した。さらに、これらの言葉の意味がわからない人は、いざ老後の準備をはじめようとしても、金融商品の特徴が記されている重要な説明書などを見ることなく、投資を決める傾向があるようだ(詳しくは基礎研レポート「『リスク』や『ベンチマーク』がわからない投資家はディスロージャー資料を見ない~投資知識と投資行動の関連性分析~」を参照。 http://www.nli-research.co.jp/report/nlri_report/2012/report121130.pdf よりダウンロード可能)。

もちろん、これらの説明書に書かれている言葉は難しいものが多く、わからないのだから見たくもないのも当然だ。しかし、その結果、自分に相応しくない金融商品を選んでしまうことや、何より老後の準備をはじめることを先延ばしすることになるのは、よっぽど望ましくない。

銀行、証券会社、生命保険会社などの金融機関では、どのように老後に備えればよいかについて必要な情報を提供している。老後までに幾ら貯める必要があるのか、どのように貯めれば良いのか、あなたに相応しい貯め方はどのようなものか、などについて教えてくれるはずだ。以前と比較して金融機関のこのようなサービスは、量・質ともに格段に改善している。その気になれば、大学の1講座に相当する内容を勉強することもできる。そこまでは必要ないとしても、自分一人よりは心強いはずだ。利用しない手はない。

もちろん、金融機関はあなたに商品を買ってもらいたいために、このようなサービスを提供しているわけだが、もし、金融機関が提示する商品が自分に合わないと思ったら、きっぱりと「それは自分には向いていない」とでも言おう。何も遠慮することはない。あなたが関心を持つ商品を提示できなかった金融機関の方が悪いのだから。このように言ったら、いろいろ対応してくれた金融機関の人に悪いなどと考えてはいけない。あなたに相応しい金融商品を選ぶことが重要であって、それ以外の要因で投資を判断すると、相応しくない商品を選ぶ可能性があることを示す研究成果が数多くある。

何せ長期の重要な決断をするのだから、できればいろいろな人に会ってみよう。そのうち、なんとなくあなたと気が合う金融機関が見つかるかもしれない。

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金融研究部   主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任

北村 智紀 (きたむら ともき)

研究・専門分野
年金運用・リスク管理、公的年金

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