2012年11月29日

トリプルメディアと消費者-生保加入検討プロセスにおけるトリプルメディアの利用状況

生活研究部 シニアマーケティングリサーチャー   井上 智紀

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■見出し

1――はじめに
2――生命保険に関する情報源の利用状況とトリプルメディアへの分類
3――直近5年以内加入者の生保加入検討プロセスとトリプルメディア
4――結果と含意

■introduction

マーケティング関係者の間で「トリプルメディア」が一般的な用語になって久しい。トリプルメディアは、2009年にT.レベリヒトが米国cnet上に発表したレポートに端を発し、フォレスター・リサーチ社により同社のブログ上で詳細な定義が示されたものである。当初は、オンライン・メディアのみを想定した分類として提示されており、主にインターネット広告業界を中心にオンライン・メディアの分類として注目されてきたが、現在ではすべての顧客接点にあてはめて考えるべきものとして概念拡張されており、あらゆる業界において消費者のブランド経験を高めるためにこれらのメディアを適切に組合せていく必要があることが指摘されている(図表 1)。


図表 1 トリプルメディアの定義と具体的な顧客接点(例)


実際の消費行動においても、広告(ペイドメディア)で関心をもった商品・サービスについて、購買前に企業のウェブサイト(オウンドメディア)で会社やブランドについて調べ、口コミやネット上の評価(アーンドメディア)を確認した上で購入に至ることは珍しいものではなくなっている。近年では、インターネット環境下での消費行動は伝統的なAIDMAモデルでは説明できないとして、AISAS®モデルやAISCEASモデルのように検索や比較および購買後の情報共有を購買プロセスに組み込んだモデルも提唱されるようになっている

生命保険においても、従来から、アーンドメディアの一つである家族や友人などからの口コミは、加入検討時の情報源として広く活用されてきた。近年では、さらに比較サイトで公開されているランキングやFPなどの専門家といった口コミ以外の第三者による情報の入手可能性が高まるなど、アーンドメディアの存在感はさらに増しつつあるように思われる。そこで本稿では、生命保険の加入検討プロセスにおけるこれらトリプルメディアの利用実態を把握するとともに、それぞれのメディアが果たしている機能について明らかにすることを試みる。分析には、弊社が2012年3月に実施した「生命保険マーケット調査」の個票データを用いる。



 

 1 恩蔵直人、ADK R3プロジェクト(2011)「R3コミュニケーション」宣伝会議

 2  AIDMAモデルは1920年代にRoland Hallが広告宣伝に対する消費者の反応を、注意(Attention)、関心(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)の5つの心理プロセスとして示したものである。

 3  AISAS®モデルは、インターネット環境下では、AIDMAモデルの欲求(Desire)、記憶(Memory)のプロセスを経ず、興味(Interest)を惹かれたらすぐに検索(Search)して行動(Action)する上、さらに共有(Share)も行われるとして(株)電通が提唱したものである。

 4  AISCEASモデルは、アンヴィコミュニケーションズ社望野氏が提唱したものである。AISASモデルとは異なり、検索(Search)段階に比較(Comparison)、検討(Examination)といったプロセスを加え、より細分化して捉えている。

 5  調査対象は全国20~69歳の男女個人(有効回収数:5525サンプル(うち生保加入者4394サンプル))

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生活研究部   シニアマーケティングリサーチャー

井上 智紀 (いのうえ ともき)

研究・専門分野
消費者行動、金融マーケティング、ダイレクトマーケティング、少子高齢社会、社会保障

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