2012年10月30日

鉱工業生産12年9月~3四半期連続の減産が濃厚に

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・7-9月期は前期比▲4.2%と2四半期連続の減産
・在庫積み上がり局面へ
・3四半期連続の減産が濃厚に

■introduction

経済産業省が10月30日に公表した鉱工業指数によると、12年9月の鉱工業生産指数は前月比▲4.1%と3ヵ月連続の低下となり、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲3.2%、当社予想は同▲3.9%)を下回った。出荷指数は前月比▲4.4%と2ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比▲0.9%と2ヵ月連続の低下となった。
9月の生産を業種別に見ると、電子部品・デバイス(前月比2.4%)を除く15業種が前月比で低下した。特に、9月21日にエコカー補助金が終了した輸送機械が前月比▲12.6%と急速に落ち込んだほか、輸出減少の影響を強く受けた一般機械(前月比▲5.0%)、鉄鋼(同▲5.0%)、電気機械(同▲4.9%)が大きく低下した。
12年7-9月期の生産は前期比▲4.2%と2四半期連続で低下し、4-6月期の同▲2.0%から低下幅が大きく拡大した。業種別には16業種中、情報通信機械、窯業土石を除く14業種が前期比でマイナスとなったが、特にエコカー補助金終了前から減産体制に入っていた輸送機械の落ち込みが前期比▲11.1%と最も大きかった。
12年9月の生産指数を10月、11月の予測指数で先延ばし(12月は横ばいと仮定)すると、12年10-12月期は前期比▲3.8%の低下となり、3四半期連続の減産が濃厚となってきた。
当研究所では、景気はすでに後退局面入りしている可能性が高いと考えている。現時点で暫定的にヒストリカルDIを作成すると、12年4月に50%を割り込むため、12年3月が景気の山となる可能性が高い(ただし、2013年に予定されている基準改定、季節調整替えなどによって生産指数の動きは修正され、ピークの時期もずれる可能性があることには留意が必要)。
なお、景気の山を起点とした鉱工業生産指数の落ち込み幅を、90年以降の景気後退局面と比較すると、前回の後退局面(リーマン・ショック、08/2~)、ITバブル崩壊(00/11~)には及ばないが、バブル崩壊(91/2~)、消費税率引き上げ後(97/5~)とほぼ同程度となっている。また、景気後退局面の初期段階としては最も速い低下ペースとなっている。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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