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サービス付き高齢者向け住宅-高齢期の豊かな暮らしを支えていくために
山梨 恵子
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■見出し
1――選択肢を広げる高齢者の住宅政策
2――登録基準と制度概要
3――東京都の登録状況
4――質の確保・向上に向けた課題
■introduction
「サービス付き高齢者向け住宅」は、高齢の単身者や夫婦世帯が安心して居住できる賃貸等の住まいの整備を目的とした、国土交通省と厚生労働省が共管する制度である。今後、各自治体で本格的に取り組んでいく地域包括ケアシステムの1つの柱として位置づけられ、新たなシニアビジネスの市場として関係者の注目を集めている。平成23年10月から始まった全国の事業者登録の状況を見ると、年が明けた今年1月頃から登録数が増え始め、今年5月末には1,500件に達している。
これまでも、これからも、要介護状態が重度になった高齢者は、「在宅介護の継続」か「介護施設への移動か」を迫られることが多いだろう。この制度は、高齢者が将来に備えた生活環境を整えていく上で、「高齢者住宅」という新たな選択肢を増やしていくことにもなる。
サービス付き高齢者向け住宅制度は、従来の制度で指摘されていたいくつかの課題を改善している。例えば、これまで違いが分かりにくかった「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」、「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」、「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」の3類型が統合されたこと、統一規準を設けることにより多様な運営形態が混在する有料老人ホームの登録も可能にしたことなど、利用する側の分かりやすさに配慮している面もある。以下では、サービス付き高齢者向け住宅が創設された経過や登録状況を確認しながら、要介護期の高齢者の暮らしを支えられる住宅となるための課題を整理してみたい。
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