2012年10月05日

金融市場の動き(10月号)~QE3後の市場の反応と中国リスク

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. (市場全般) 今回QE3後の市場の初期反応をまとめると前回QE2後と比べてリスク回避的である。そしてその要因は、世界経済の不透明感が強いためと考えられる。QEはリスク・オン要因であるため、世界金融市場が今後リスク選好に傾くかどうかは実体経済、欧州問題とのバランスが重要になる。なお、QE3後の日本株の出遅れ感が目立つが、要因として大きいのはやはり中国の影響と考えている。日本は外需主導型経済でかつ中国との繋がりが強く、中国の減速はマイナス材料として大きい。さらに、日中間の緊張というマイナス要因も重石になっている。業種別では中国の影響を収益面で最も直接的に受けやすいのは自動車産業と考えられるが、他産業への波及力の強い同産業を通じて、日本企業は幅広く中国情勢(実体経済+日中関係)の影響を受ける可能性が高い。日本株の出遅れについては、従来の為替に加えて中国情勢が重要なキーファクターになったと言えるだろう。
  2. (日米欧金融政策) 9月の金融政策については、日米で追加緩和が実施された。ECBも8月に再開方針を示していた国債買入れプログラムで合意しており、各国中銀が揃って政策対応を打った形に。目先の注目は10月末展望リポート発表時の日銀の対応。
  3. (金融市場の動き) 9月の金融市場は、ECBの対応やQE3を受けてドルが対ユーロ、円で下落した。長期金利はほぼ横ばいであった。当面の予想は、ドル円相場と長期金利は膠着ぎみの展開に、ユーロ相場はスペインの対応次第で動くと見る。



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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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